「地域と共にある学校運営が今こそ必要だ!」と言われ始めた昨今…、では一体どのように進めたら良いのか…と悩んでいる方も多いと思います。
そこで提唱されているのがコミュニティ・スクールです。
コミュニティ・スクールは地域と学校が一緒になって子供たちの教育を担っていくという考え方で、学校運営に参画してもらったりするのです。
そんなコミュニティ・スクールについての疑問点を丁寧にまとめています。これからコミュニティ・スクールを作りたいと思った方はぜひ参考にしてみてください。
コミュニティ・スクールについてをインタビューされました!非常に分かりやすいので、こちらもぜひご覧ください。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは?
さきほども言いましたが、コミュニティ・スクールは地域が学校の運営に参画し、子供の教育を一緒に担っていくという考え方です。
文部科学省ではこんな風に言われています。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。コミュニティ・スクールでは、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことができます。
出典:文部科学省 – コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)
今、学校は学校独自で頑張ってきたという印象が強く、地域住民も「それは学校でやることだから」と学校に全て押し付けてしまっているという事例が多いのです。
本来、教育は先生が担う学校教育だけではなく、地域が担う社会教育と、保護者が担う家庭教育の3つが合わさって行なうものです。しかし、そのバランスが大きく学校に偏ってしまっています。
- 朝の見守り活動、駐車場案内、校内の草刈りなど、地域でもできることを先生が義務感を持って行っている
- PTAの運営を負担に感じている人が多い、集まりが悪い、次のPTAが決まりにくい…など
- 学校評議員制度しかなく、学校の体制が変わった印象がない
その結果、地域との溝が生まれてしまい、教員がものすごく忙しくなってしまい、結果的に満足できる子供の育成につながらないという状態になってしまったのです。
また地域によって課題は違います。そこで地域の声を反映し、地域にピッタリの学校になるように共に考えていこうというのがコミュニティ・スクールです。
学校だけで全て担うのは無理なのです。担うべきは学校との連携。一人ひとりの地域住民が子供たちの教育を考え、行動することが大事なのです。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の仕組み
学校運営協議会は学校運営協議会委員として任命された地域の代表、学校校長、市の教育委員会という三者が連携して作られています。
学校運営協議会を設置すればコミュニティ・スクールになったと言われます。
しかし、これで終わりではなく、発展させることが大切です。設置後、地域学校協働本部の設置や、地域学校協働活動推進員の配置、学校を核としたコミュニティ(スクールコミュニティ)の醸成が必要となります。
地域の意見を吸い出す学校運営協議会が学校の運営に対して意見を出したりできるのです。
コミュニティ・スクールの主体はあくまでも地域の人たちです。なので、本来は学校だけが頑張る仕組みではないと理解してください。そして、学校運営協議会の主な役割は3つです。
しかし、実際に始めてみると、ここでは記されていない役割があります。
実際4年やってみて、学校運営協議会委員にコーディネーター的な役割が必要で、主体的に行動ができる人でなければならないので、非常に大変なことだと感じます。
コミュニティ・スクールの必要性
ではなぜ、必要なのか?コミュニティ・スクールが行われる背景に子供の未来が先行きの見えない状況だからというのが一番大きいです。
今までは全国一律の教育で良かったのです。それはどの地域、社会でも求められる人材が同じだったからです。
例えば有名大学に行って、大企業に勤めれば将来安泰!という形がどの場所でも言われていたでしょう。その時の状態とは今は明らかに違います。
原因はシンギュラリティというコンピュータが人間を超えてしまい、人間の今の仕事が奪われてしまう可能性が高いからです。
そうなると、今まで以上に住んでいる地域で何が求められているのか?を察知できる能力が重要になってきます。地域からどんな人材を育て、どんな場所に行っても地域を想い、新しい仕事を次々に生み出せるのか。
これを考えるためには学校教育だけでは不可能です。そのために地域住民の意見や、考えを教育に落とし込む必要があるのです。この辺りはコミュニティ・スクールの意義と目的を見ていただくと理解しやすいかと思います。
コミュニティ・スクールは10年以上先を見越した大規模な投資であり、地域創生事業だと思うと分かりやすいですかね〜。
コミュニティ・スクールは努力義務
コミュニティ・スクールは努力義務という形になっています。努力義務というのは簡単に言うと「やって欲しいから頼むけど、強制はしないよ」というものです。
努力義務(どりょくぎむ)とは、日本の法制上「〜するよう努めなければならない」などと規定され、違反しても刑事罰や過料等の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のことである。遵守されるか否かは当事者の任意の協力にのみ左右され、またその達成度も当事者の判断に委ねられる。
出典:Wikipedia – 努力義務とは
この意図は「意味や、意義があって、目的を達成する手段としてコミュニティ・スクールを活用してほしい」という願いが込められています。
義務化するかどうするかは国のほうで最後まで検討されていましたが、この想いは貫き通され、努力義務にとどまりました。あとは使う側の意識次第です。
強制力はないので、学校はとりあえずやっておいて形だけは作るというケースが多くなるでしょう。本当はそれではいけないのですが、それだけ学校には余裕がありません。
だからこそ、コミュニティ・スクールがうまく行くか行かないかは、学校運営協議会のメンバーに選ばれた人にかかっています。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の設置状況
コミュニティスクールの設置状況として、今の段階で右肩上がりで設置校は増えています。(現状しっかり動いているかは別として…)
全国で約30%ほど、設置が多い(50%を超えている)県としては三重県、滋賀県、和歌山県、山口県、高知県、熊本県、大分県ですね。
特に山口県は設置100%と非常に多いです。
逆に東京は28%、大阪は11%と大都市であっても設置はそれほどではない印象を持ちます。それは地域創世の役割も大きいからで、大都市ではあまり魅力を感じないのでしょう。
コミュニティスクール(学校運営協議会制度)のメリット
うまく行った場合、コミュニティ・スクールを通じてさまざまなメリットが生まれます。
学校
などでしょうか。学校だけでは見えなかった視点や、協力者が増えるという意味合いが多いですね。
地域
などでしょうか。地域の課題解決や、さまざまな人脈を通じて子供たちへのより良い教育ができるようになるのがメリットですね。
本当にうまく行っているところは、昭和の頃の「隣の人が子供を見てくれる」というような意識感になったというケースもあります。地域全体で子供を見ると結果的に全員が幸せになりますね。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の課題
もちろんメリットばかりではありません。むしろコミュニティ・スクールの問題点のほうが大きく感じてしまうでしょう。
学校運営協議会の大事なことは地域(大人)の意見を優先するのではなく、子供の育成や、環境整備に繋がるか?を重視しなければいけない点。
ただ保護者や地域の良いように学校を好き勝手に変えたり、クレームを言うだけで地域が協力的ではなく何も進まなかったりすると、却って学校の負担が増えてしまうという側面も持っています。
これでは「コミュニティ・スクールは効果がない」と言われてもしょうがないことだなと思います。
ただ保護者や地域の良いように学校を好き勝手に変えたり、クレームを言うだけで地域が協力的ではなく何も進まなかったりすると、却って学校の負担が増えてしまうという側面も持っています。
詳しくはコミュニティ・スクールのリアルな声をお読みいただければ分かると思います。
その中でも大きく課題になるのはこの3つです。
その中でも大きく課題になるのはこの3つです。
結局、学校が頑張らないと回らない
業務負担軽減にもつながるハズなんですが、学校運営協議会の開催場所は学校になりがちです。また、仕事が終わってからの集まりになるので、19〜21時という集まりになります。
そうなると学校職員が誰かは残っていないといけなくなってしまうのです。
また、学校運営協議会がうまく回らない場合、学校が手を出したりしないと活動が活発化しないことも多いです。しかし、学校にはその余裕がないので、結局コミュニティ・スクール自体がうまく立ち回らなくなってしまうことも多いです。
地域の人たちの意見が集まらない
地域の代表だけが意見を出してもしょうがないのがコミュニティ・スクールです。
しかし、その肝心の地域の人たちが集まらない、集まったのに意見が出てこない…というケースもよくあります。
そもそも「学校運営に参画するなんてとんでもない」という考え方の人も多いので、その考え方から変化をさせていくというのは非常に難しいのです。
学校運営協議会は無償の活動(である場合が多い)
学校運営協議会は市からの税金が降りれば良いのですが、ほとんどの場合、税金が出ず(私が支援している地域もそうです)、無償の活動になってしまうことが多いです。
お金以外の目的がハッキリ見えていればモチベーション高く、積極的に活動を続けていけますが、なかなかそういう方ばかりではなく、流されるままになってしまう委員も多いです。
誰かが動くのを待っているという状況では良い状況に好転しないので、市も税金が出したくなるレベルまで引き上げることが必要になるでしょう。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の成果と展望
コミュニティ・スクールによって良い成果が出ているのは海外の事例が非常に多いです。
海外では授業がオープンどころか、学校自体が公民館のように貸し出されていて、いろんな人達の出入りがあったり、図書館のような場所で学校の先生の学び舎があったり、とにかく日本では考えられないような事例がたくさんあります。
公立学校が最終的にどのような未来になるのか?というと、10〜20年後くらいにはこのような形になっているとビジョンを持って僕自身は活動しています。
地域と公立学校が共に未来を創る…もちろん、コミュニティ・スクールの仕組みだけでは、理想の未来にはなりません。
しかし、その一歩目はコミュニティ・スクールになるのかなと思っています。