この記事で分かること
  • コミュニティ・スクールに反対してしまう先生の心情
  • コミュニティ・スクールの反論対応

コミュニティ・スクールを正しく理解し、しっかり運営することができれば、学校や、地域、そして子どもたちにとって大きなメリットになるのは間違いありません。

しかし、コミュニティ・スクールを導入する時、多くの先生は反対するのです。

良いことだと分かっているけど、先生たちはなぜ反対してしまうのか?は分かりますか?

この背景にあることを理解し、先生の納得感を増やして、反対する理由を減らしていかなければ導入したとしても形だけのコミュニティ・スクールが出来上がるでしょう。

今回はなぜ先生たちは反対するのか?そして、反対していたらどうするか?についてお話していこうと思います。

学校の先生がコミュニティ・スクールに反対する理由

学校の先生がコミュニティ・スクールに反対する理由はさまざまですが、慎重に話を聞かなければいけないなと思います。

ソルティー
ソルティー

家庭で例えると…自分の家庭に第三者が入って家族会議をし、子育ての方針についてみんなで話し合うってこと。

仕事場で例えると…会社の全体ミーティングに会社以外の地域の住民が入ってきて、仕事の内容について話し合うってこと。

これを受け入れることはとても簡単ではないと思います。

素直に受け入れたいけど、受け入れられない。そんな気持ちを理解していきましょう。

自分たちの仕事が増えると思っている

先生たちはコミュニティ・スクールがあると仕事が増えると思っています。

なぜか?それはPTAや、学校評議員という組織で連絡・調整をやり続けてきた人が学校の先生だからです。

さらにPTAの資料作成や、準備、駐車場の案内なども先生たちが行なうことがあり、多くの先生が苦しいと感じていたりします。

学校運営協議会も同じように「自分たちがやらなければいけない」という意識がとても強く、せっかく地域の人を『学校を運営する立場』として招いたにも関わらずお客さんとして扱ってしまうケースは非常に多いのです。

ソルティー
ソルティー

学校に依存しない運営形態が出来ないか?を考えていきましょう!

今までのやり方が変わると思っている

コミュニティ・スクールを知っていくと、今までのやり方を変えなくてはならない新しい大きななにかをやらなければならないと思っている人が多いです。

実際、多くの好事例で見かけるものは新しい取り組みを行っているように見えます。でも、実際は多くの取り組みが始めることではなく、不要なことをやめ、本当に大切にしたい今あるものを大事にすることなのです。

ソルティー
ソルティー

ここを間違えると地域の人が新しいことを持ち込んでしまい、今までのやり方が変わって辛くなったと思ってしまうので、まずは目的をみんなで考え、何に絞っていくか?を考えていきましょう。

組織を運営・維持することが大変だと思っている

コミュニティ・スクールは学校の先生が運営・維持すると思っています。

ですが、法律上は校長が最終的に決定すると書かれているだけで、誰が運営するかまでは書かれていません。つまり自由なのです。

コミュニティ・スクールは教育委員会から学校に降りてきて、教頭先生が受け取り、そのまま担当が教頭先生・教務主任の先生になりがち。

そんなに準備する時間や、熱量もないので、学校運営協議会は形だけの準備になって、年間4回…となるのがほとんどです。

ソルティー
ソルティー

手段を目的化してしまいがちなので、教育委員会がコミュニティ・スクールを設置前にCSマイスターなどを呼んで、地域住民にも広く伝え、巻き込んでいきましょう。

学校に対して反対意見や、辛い意見が集中してしまうと思っている

先生はずっと地域・家庭から学校の改善点を要求され続けてきた歴史があります。

学校運営協議会で話し合った内容が素晴らしい改善点だったとしても、すべてクレームだと受け取ってしまう傾向があるのです。

これは地域・家庭側が改善点だけを要求し続けてしまったことが原因です。まずは地域・家庭側でも何かできることはないかを考え、実行する姿を見せていかなければいけないでしょう。

ソルティー
ソルティー

ここは地域・家庭・学校の信頼関係が重要です。「この人にだったら言われても大丈夫」って思える人をどれだけ増やせるか。

それが学校にとって安心・安全の場と言えるのではないでしょうか。

教職員の任用に対して切り込んでくると思っている

コミュニティ・スクールの中に教職員の任用に関する教育委員会に対する意見と記載されています。これを「あの先生はひどいから辞めさせろ」と言われるのではないかと勘違いしています。

ここにあるのはあくまで意見であり、その通りになるものではありません。また、採用・昇任・転任に関する意見しか述べられません。

教職員の配置は主に県の教育委員会が決めており、複雑な事項を考慮しながら配置されています。それを一学校から申し出があったから採用されるなんてことは絶対にあり得ません

ソルティー
ソルティー

この事項は言葉の勘違いが多いので、基本的に触れないほうが健全かなって個人的には思います。それよりもどんな学校にしたいか?などを話し合っていきましょう。

コミュニティ・スクールを反対させないために地域・家庭でできること

コミュニティ・スクールを良い形で進めるためには先生たちの協力は不可欠です。

そのために周りができることがたくさんあります。

先生の仕事を奪う

手を差し伸べる

あまり良い言葉のように聞こえないかもしれませんが、先生の仕事を奪っていくというのは良いと思います。

コミュニティ・スクールをやるにあたって、 学校の先生の正直な気持ちとしては、「余計な仕事が増えるのでやりたくない」と思っている方が非常に多いです。

また、多くの学校では意味がないかもしれないけど、とりあえず学校運営協議会を設置して、とりあえず話し合って、何も変えないというケースが多くなっています。

その理由は先生たちは日々の仕事でいっぱいいっぱいだからです。

そうした中で、 「打ち合わせが入りますよ」「考えましょう」とすると、学校の先生が余計な仕事が増えると感じるのも仕方ないなって思ったりするわけです。

逆にコミュニティ・スクールが、うまく行っている学校は先生たちが、確かに負担は増えるかもしれないけど、 これは確実に意味のあるものだというような、ある種の納得感を持って関わっていることが多いようです。

ソルティー
ソルティー

なぜ、学校の先生に受け入れてもらえるのかっていうコツを教えてもらったんですが、コミュニティ・スクールに関わってもらっている人たちが準備や企画に関して、学校の先生は手伝いたいと思ったら参加してくださいと言うそうです。

先生たちも強制だと辛いですよね。

先生の辛さを聞く会を開く

先生の話を聞く

うまくいっている事例の1つとして、先生たちの辛さを聞く会を開いたという事例が非常に多いです。

先生たちは、日常業務で非常に疲れていて、大変です。

この悩みをコミュニティ・スクールに関わる人たちがしっかり聞いていく。

そして、その先生たちの辛さを聞くことによって、みんなが「これは何とか助けたい」とか、「自分たちも立ち上がらないと」っていうような、同情と共感の声が非常に多く上がるようです。

このような場で作るために

学校の先生は弱みを見せてはならないと強く思っています。できれば学校運営協議会の場だけでも話せるのが重要です。

このような多くの保護者が味方になってくれて、先生たちの負担を増やさない、むしろ、仕事を奪っていくっていうような形を取っていくと、最終的に先生たちにとってもポジティブな印象として映ります。

ソルティー
ソルティー

「仕事が減って助かった」とか、「手伝ってもらってよかった」っていうようなことをどれだけ姿や、行動として見せられるかがポイントなのかなと思います。

助けてくださいって言える地域、助けてくださいって言える先生、そのようにお互いが本音を言い合える、 困った時に助け合える、そんな付き合い方がとても大切です。

学校を助けることは子どもを助け、日本を変えていると助ける側が自覚する

循環と地球

コミュニティ・スクールをやろうって言うと、必ずと言っていいほど、ボランティアが出てきます。

で、ボランティアをやってる時に、「これ学校がやるんじゃないの?」って方向性(ベクトル)が全く逆な人がいるんですね。

これは身も蓋もない言い方ですが、日本の問題でそういう育ち方をした結果なんだと思います。

所々で起こっている問題は、そう言っている人だけの問題ではないので、そう言われてしまった先生自身の問題でもないってことです。

そもそも…

現在の教育は学校・地域・家庭の教育バランスが崩れた状態で、なんでも学校に任せているような状態になっています。このバランスを直さない限り、教育はうまくいかないままなのです。

教育バランスの円

非協力的な人を変えることはとても難しいですが、自分自身は簡単に変えられます。先生たちの負担を減らすということは、子供たちにとっても、自分の子供にとっても非常に良いことなんだよっていうことを伝えたり、魅せていくっていうことが大切。

このような何の損得感情もなく、学校を支援し、地域に貢献するっていうものっていうのは、自分の精神や、人生を豊かにしますし、人間として生きる上でとても大切なことであると思います。

このような空間を作っていくと、学校だけではなくて、地域の中にも困った時は助け合うというムードができる。このようなムードがどんどんどんどん、学校や地域っていうところに広がってくると、 もちろん会社は変わります。

そして、会社が変わって、いろんな企業さんがそういう風なムードになると、社会が変わってきます。

社会が変わってくると、日本が変わってくるんですね。

信じられる人がまずは動く

一人でも走る!

学校に対する支援は、目の前で起こっている小さなことが、大きなところに実は繋がってるんだよと信じられるかって話なのです。

これは信じられる人が見せていくしかないんだろうなっていう風に思います。

余計な仕事って思ってる人もたくさんいるし、地域の人にも、「これはただのボランティアで、 なんかチーム学校とかなんか言われると吐き気がする」っていう人だっています。

でも、これはしょうがないです。その人が生きてきた環境で、何か思うところがあって、そういう思考になっている。ただ、それだけなんです。

どうしてそう思ったのかっていうところをちゃんと聞いて、そして受け止めて、「あ、そういう感じなんですね、わかりました」と無理に誘うことはしない

ただ、それだけなんです。

その人にはその人なりの理由があって、手伝えない、手伝いたくないっていう意思表示だと思います。

でも、その中で自分はどうする?自分はそういう人がいても、働き方、生き方っていうのは変わらないという信じられるものが行動を支えます。

これが自分の信念と呼ばれるもので、そのような本質を見つけて、行動に起こすのは、非常に大事だろうなって思います。

コミュニティ・スクールに反対されてもできることをする

コミュニティ・スクールを始めると絶対に反対する人は出てきます。

そんな中でも大事にしたいことをまとめると…。

反対されても大事にしたいこと
  • 先生たちの理解を深めること
  • 相手のためを思って負担を減らすこと
  • 意見を述べるなら手を動かすこと
  • 困っている人の話をよく聞いてあげること
  • 無理に誘わないこと
  • 信念を持って自分が行動を起こすこと

余計な仕事だなって思うことを、少しでも薄めて、みんなで学校を作っていく。

地域にもいろいろな課題があるのですが、子どもたちの教育は未来を作ることであり、お互い様の精神で協力し合うことが非常に大切なことだと思います。

本物の想いには人は必ず応えてくれます。ぜひ、一歩を踏み出してみてください。