対人関係で「コミュニケーションが大事!」とはよく言われています。

学校も先生と生徒がいる以上は、コミュニケーションは欠かせません。

特に先生のコミュニケーションは生徒や学校づくりにも影響が出てきます。

そこで今回は日本親子コーチング協会の理事で、公認心理師である黒木教子さんに学校における先生のコミュニケーションの課題や、コミュニケーションの観点から見た理想の学校づくりに必要なことについてインタビューしてきました。

この記事のインタビューについて

このインタビューは2020年11月に実施されたものです。

のりちゃん

黒木教子さん(のりちゃん)

  • 3人息子の母。
  • 言葉の力で未来を叶える応援をするメンタルコーチ。
  • 日本親子コーチング協会理事
  • 日本ペップトーク普及協会認定講師ファシリテーター
  • 公認心理師
  • 学校サポーター
今回のインタビュアー:りっちゃん(詳細はこちらをクリック)

先生のコミュニケーションの取り方が課題

先生が抱えこみきれない

りっちゃん
りっちゃん

ここでお話していただくことは、困っている先生が少しでも助かるような内容や既にある仕組みを先生たちが生きやすいように変えることで子どもたちが幸せになったり、地域が幸せになることにつながれば良いなと思っております。

では、のりちゃんの見てきた学校の現状というのをお話していただければと思います。

のりちゃん
のりちゃん

学校の現状ですね。

私はつくば市内の小中学校に週に2日から3日ほど、子どもたちのサポートということで伺っています。

その中で見えていることもそうですし、あと息子たちに今の学校の現状というところからお話することでよろしいでしょうか?

りっちゃん
りっちゃん

はい、お願いします。

のりちゃん
のりちゃん

まず、先生たちは一生懸命にいろんなことをされているとすごく感じます。いろんなことを一人で抱えて、あれもこれもやらなくちゃっている。

いろんなことをやりながら授業もやり、子どもたちや保護者に対してのサポートも一生懸命関わってます。

なんとか子どもたちを元気にしたい、子どもたちの学びを深めることを、ものすごく一生懸命にされているというのを一番に感じます。

りっちゃん
りっちゃん

なるほど。

のりちゃん
のりちゃん

そんな中でも、すごく悩んでいるところもあるのも感じています。

それはやっぱり職員同士のコミュニケーションはあまり時間がないので、コミュニケーションが取れてないと思うのです。

やっぱりやることがすごく多いので、子どもとのコミュニケーションも深くというかある一定の子は深くできるかもしれません。

例えば、気になってる子に対してはということで、一生懸命フォローしなくちゃいけないとかかわったりするんだけれども、やっぱりクラス全体だと先生が一人だとやっぱり抱えきれない感じに見えます。

本当はこうなってほしいのにこうなってこうしてほしいと思うことがあっても、それをイメージして上手く伝えきれてない感じはします。

イメージのわきやすい伝え方が必要

りっちゃん
りっちゃん

イメージを伝えきれないというのは、具体的にはどういう風にそれを感じたんですか?
どういう場面で?

のりちゃん
のりちゃん

「廊下を走らない」って言うときなどですね。

りっちゃん
りっちゃん

なるほどね。分かりやすい。

のりちゃん
のりちゃん

「廊下を走らない」っていうけどイメージとしては受け取る側は走るというイメージを受け取ってからそれを否定するような感じになるので、まず最初に浮かぶのは走るな、ですよね。

走らないと言われてもそのときはいったん静止することはできるんだけど、持続性がないんです。どうなっていくかがわからないから。

りっちゃん
りっちゃん

うんうん。

のりちゃん
のりちゃん

走らない、危ないから走らないというのはもちろん良いけれど。

例えば、「ここは歩きましょう」、「歩こうね」、「時間はまだあるよ」とかって、ゆとりがあるような言葉かけとかすると良いですね。

イメージできる言葉かけをできると、先生が伝えたいことがハッキリ伝わると感じます。

りっちゃん
りっちゃん

すごくわかりやすいです。

「廊下は静かに歩こうね」って言われると、こうすっと入るんだけど、言葉をかける先生があの時間はまだあるよという気持ちになれていないのが原因というかね。

のりちゃん
のりちゃん

その急がなくちゃいけないとか、時間があると言う側も注意する側もゆとりがなくなっています。でも、それは言葉じゃなくても非言語で伝わるんだよね。

姿勢だったりとか表情だったりとか、雰囲気で。

りっちゃん
りっちゃん

そうそう。

のりちゃん
のりちゃん

やっぱりこれだけ伝わるんですよ。言葉もすごく大事なんだけど非言語の部分もめっちゃ大事なんですよ。

その辺も見てて思うところはありますね。

先生同士のコミュニケーション

人数が多すぎる

りっちゃん
りっちゃん

そういった子供たちの関わり方ってのもすごく想像できるんだけど、先生同士のコミュニケーションが取れないというのはどういうシーンで感じましたか?

のりちゃん
のりちゃん

私は今行ってるところはすごくマンモス校なので、先生自体がもう100人を超えてるんですよね。学年が下の学年に行くほどものすごく数が多くて10クラスあるので、小学校の1年生のクラスが10クラスあるので。

そうすると10クラスということは10人の先生が、一度に会議をするって形になるじゃないですか。

でも、居酒屋のイメージをしてもらうと良いんですけど、グループでこう話し合ってみんなが話せるのって、だいたい4席なんですよね。

4席とか6席くらいそれくらいならコミュニケーションがとりやすい。

りっちゃん
りっちゃん

とれるとれる。

のりちゃん
のりちゃん

10クラスだとやっぱり話すだけの人と、聞く専門の人とってなってしまったりして、自分の意見を言いにくい状況になってたりすると思う。

人数が多いマンモス校でもそうなるから、時間が取れないんですよ。
みんな同じ時間に終わって、何かやる時間があったり、集まる時間が良いと思うんですけど、その部分もクラスや授業の進み具合によって先生がやらなくちゃいけないことがあったりすると教室に残ったりもするし。

なので、時間の管理と人数が私の行ってるところは多いなってのがあって。

りっちゃん
りっちゃん

ですね。

先生間で遠慮がある

のりちゃん
のりちゃん

あとは何でもいえる環境になってないんじゃないかなという感じはします。

りっちゃん
りっちゃん

それは例えば同僚同士ですか、それとも管理職の先生に対してですか?

のりちゃん
のりちゃん

管理職としてもそうですよね。管理職の方たちはすごく穏やかな先生が多いので、話しやすいと思うんです。

でも、管理職の方が穏やかな態度であったとしても、その他の先生たちが遠慮してたりとか管理職だからと思い込みを持ってると、こんなことくらいで話したらダメなんじゃないかとか思っちゃう

それで上手く話ができないとかあるのかもしれないと思います。

りっちゃん
りっちゃん

なるほど。

のりちゃん
のりちゃん

ものすごく責任感が強いから、クラスのことは自分で何とかしなくちゃいけない感じで思ってらっしゃる先生もすごく多いと思うんですよ。

「みんなで」という意識が必要

りっちゃん
りっちゃん

じゃあ逆に責任感がなかったらどうなんでしょうね?

のりちゃん
のりちゃん

責任感がなかったら…?

りっちゃん
りっちゃん

自分の言い方があれかな。良い意味で自分のクラスだけど、他のクラスの先生にも助言を求められるような雰囲気があったらどうなるんでしょうね。

のりちゃん
のりちゃん

たぶん自分がじゃなくて、みんなでっていう意識があれば良いんじゃないかなと思います。
大事なことは何だっていうものが、共通認識として先生たちにいつもあることが大事かなと思いますね。

りっちゃん
りっちゃん

例えば自分のクラスの問題児のことなんだけど、周りの先生、クラスの先生、学年を超えて共有することでみんなの学校の一人の生徒いう意識でいる。

うちのクラスなのに相談して申し訳ないという意識がなくなれば、いろんなクラスの子たちを皆で見るっていう風になるのかな。

のりちゃん
のりちゃん

同じクラスとか学年じゃなくて一人の人、一人の子ども人間としてやっぱり私たちが受け入れるというか見るというか認めるというか、誰一人として欠けてもこの学校はきっと成り立たないんだよね。

だから、ここに来ている子どもたちっていう大きなくくりで見るのも大事なんじゃないかなと思いますね。

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