- 学校運営協議会とPTAって何が違う?
- PTAも学校運営協議会に入れる?
- 学校運営協議会はPTAの代わりになる?
学校運営協議会(コミュニティ・スクール)が設置される!となった時、とある疑問の声が上がることもあります。
- 「PTAがあるんだから、これ以上組織が増えなくて良いよ!」
- 「学校に参画しているからコミュニティ・スクールはいらない!」
- 「俺たち(地域)の負担がこれ以上増えるのか!?」
地域側からすれば「また何かやること増えるの!?意味あるの!?」みたいな声が多くなるんですね。
では、今、ほとんどの学校に設置されているPTAと学校運営協議会は一体何が違うのか?をご説明します。
PTAとは
日本におけるPTAとは、各学校で組織された、保護者と教職員による社会教育関係団体のことである。児童・生徒は、PTA会員ではない。みな等しく活動の支援対象である。任意加入の団体であり、結成や加入を義務付ける法的根拠は無く、全ての児童生徒のためのボランタリーな活動というのが本来のあり方である。
出典:Wikipedia – PTA
簡単に言うと、保護者と教員によって作られたボランティア組織です。基本的に地域の人はなれず、保護者(この保護者の解釈はPTA規約によって異なります)が会員になります。
ちなみに地域の人も混ぜたい!となった場合、PTCAと称して保護者・地域・教員の組織になっている場合もあるようですね。
ちなみにコミュニティ・スクールはPTCAとも呼ばれ、次世代のPTAとして期待されています。
学校運営協議会とPTAの違い
学校運営協議会とPTAはやってみると分かりますが、仕組み・役割・性質が大きく異なります。表にしてまとめてみたので見てみてください。
項目 | 学校運営協議会 | PTA |
---|---|---|
導入時期 | 2004年(平成16年)9月 | 1946年(昭和21年)の春 |
目的 | 地域と学校が共に学校運営について考え、協同的な教育を創る | 保護者と教員が学びあうことで教養を高め、成果を家庭・学校・地域に還元し、児童生徒の健全な発達に寄与する |
人物像 | 地域の教育有識者による合議制の機関 | 営利を目的としない教育を本旨とした任意団体 |
誰がやるか | 保護者、学校に対しての協力的な地域住民、教育委員会が必要と認める者 | 保護者と学校教職員 |
役割 |
※拘束力がある |
など多岐に渡る。 |
活動時期 | 年に数回ある協議が主な活動 | 総会や、行事参加など年度通しての活動 |
責任 | 学校運営協議会にも一定の責任がある | ない |
権限 | 強い | ない |
任命・設置 | 学校運営協議会の設置者(ほとんどは教育委員会)が任命 | 任意加入。役員決めは年末〜春にかけて行われることが多い |
報酬 | 一定の報酬が支払われる可能性がある | 会費制で成り立っていて、基本的に役員は無報酬 |
こう見るとまったく違う組織ということが分かりますね。ただ、改正も頻繁に行われているので、注意してください。
一番違うのは目的
学校運営協議会とPTAが一番違うのは目的です。
学校運営協議会の主な目的は地域と共にある学校づくりなのに対して、PTAの主な目的は学校と地域の橋渡しとなり、交流しながら子供にとって望ましい育成を図るです。
学校に行けない子どもには生きやすい環境と同じくらい生き抜く力が大切でもお話しましたが、子どもたちが過ごしやすいと感じる学校環境づくりに地域の人が参画するには、学校運営協議会しかできないかなって思います。
詳しくはコミュニティ・スクールの意義と目的をお読みください。
目的も目的意識も内容もまるで違いますね。ただ、今のPTAは大幅に目的が違っていて、ちょっと闇が深いですが…(苦笑)
権限や、強制力も大きく違う
学校運営協議会とPTAでは権限や、強制力も大きく異なります。
学校運営協議会委員は地域の代表であり、会の中では一定の権力を持っています。最終的には校長の判断になるものの、学校運営協議会からの指摘は無視できないものなのです。
そのため、学校運営協議会の発言には責任も出てきます。その代わり、教育委員会や、校長を動かす権力を持っているのです。
学校運営協議会のメリットを詳しく知りたい方はコミュニティ・スクールのメリットをお読みください。
しかし、PTAはあくまでも任意団体によるボランティア活動です。手続きも比較的緩やかで、意見を言うのは自由だけど、責任も権限も持っていません。学校もその意見に対して強制力はないのです。
本来、PTAは自発的に行う活動であり、学校という組織外で活動する学校応援団!みたいなものなのです。
ただ、PTAは学校も大分利用して、学校の一部みたいな団体になってしまっている節があります。なくてはならない存在感になっているので、権限も本来以上に膨らんでいるな〜と感じるところもあります。
活動方法が大きく異なる
学校運営協議会とPTAは活動方法が大きく異なります。
学校運営協議会は大体、年度で活動するものの会合自体は年に数回という活動です。PTAは年単位総会や、会議など月1回の集まりとボランティア活動があります。
ここで大事なことはどちらの活動もですが、本来の活動以外で他の好事例を調べたり、このブログを読んでいるように勉強する必要も出てくるでしょう。
特に学校運営協議会の場合、地域の人の悩みを聞いて現状を知ったり、協力を仰いだりすることも理想の実現のためには必要になるかもしれません。
僕の場合は、教室を使って地域内外の人に集まってもらったり、他の地域にインタビューしたりしています。このような活動をしないといざ話し合おうと言われても何話して良いのか分からなくなるな~とも感じます。
PTAになりながら学校運営協議会に入れる?
学校運営協議会の一員になるのは保護者、地域の方、もしくは教育委員会(設置者)が認めた人です。
なので、PTAであってもなれます。
むしろ、今まで活動していた経験もあるので、その方が望ましいですね。
PTAを良くするための意見を出しても良い
学校運営協議会でPTAとしてやって欲しいことを言う…というのはもちろんやって良いことです。
しかも、PTAとして意見するよりも通りやすいのが大きなメリットです。
ただし、そこにはある程度の責任もあり、それが子供たちの未来、地域の未来に繋がるという目的に沿っているかは重要です。
主体的に動ける人が意見を言うのが大事
意見を言う時に必ず発生するのが、ただ、意見を述べるだけ述べる人もいます。
そして、話し合いになると「だったらやらなくて良い」と逃げてしまうのはもっとも最悪なケースです。 より良くするために集まっているので、意見をただ通すことではなく『どうしたらもっと良いものにしてできるかを話し合う 』 ことがすごく大切な場なのだと理解しましょう。
また、意見を双方向にし、練り上げることで良いものになっていきますが、意見を言うだけ言って終わりのような気持ちで学校運営の改善を望んでしまうとただのクレーマーと言いますか…、学校の負担が増えるだけで何の役にも立ちません。
学校運営協議会は子供の未来をより深く考える仲間です。そのためにもその地域独自の共通の目的を持って認識を合わせることはすごく大切かなと思います。
学校運営協議会だけでは足りない点をPTAが担うのが理想的な形
正直な話、学校運営協議会の取り組みは良いんですが、その活動方法については僕自身は疑問で、足りないところがあると思います。
集まって話をするだけで物事は中々先に進まないし、さらに地域の人からの理解や、協力を得るには話し合いしているだけでは無理があるからです。
そのため、学校運営協議会で足りない点などをPTAや、地域学校協働本部で補わないといけないなと思います。
もしくは僕らのように第三者のような立場の専門家に協力を依頼するのも手です。CSマイスターなどはその筆頭ですね。
やはりコミュニティ・スクールがうまく行っている地域は第三者や、地域と学校を繋ぐ活動的な人物がいることが多いようで、学校運営協議会を立ち上げただけではうまく行っている事例は少ないと感じます。
そのため、みんなで協力していくという意識がとても大切だと感じます。
ただし…、という問題点もあります。PTAには問題や、課題があげられることが多いです。それはまた別の記事にしましょう。