どうも、ソルティーです。
学校運営協議会委員をやっていたので、「コミュニティ・スクールについての教育座談会があるので出てみない?」と声がかかり、参加することになりました。
この教育座談会には県内でコミュニティ・スクールを設置・運営をしたり、地域と協力しながら学校運営をしている経験を持った方が集まっていて、僕も今までの経験を話して欲しいとのこと!
こんなとこ、僕が出ていいのか!(笑)と最初ちょっとドキドキw
コミュニティ・スクールの設置・運営でどのような苦難や、解決をしていったのか?いろんな好事例もあったので、茨城教育 第862号の内容をちょっとシェアします。
コミュニティ・スクールの導入に対してリアルな課題、工夫がたくさん書いてあるので、これからコミュニティ・スクールを立ち上げたい!って思っている人は必見ですよ!
そもそも茨城教育とは何か?
今回、僕が掲載された茨城教育は一般社団法人 茨城県教育会が発行している機関紙です。100年以上続く法人でものすごく歴史があります。
年間3回発行されていて、今の教育に必要な事柄と各専門家の議論内容が掲載されます。詳しくは茨城教育会のホームページを見てくださいね。
今年度のテーマは次世代の学校づくりだったように感じます。そんなところに専門家として入れてものすごく光栄ですね〜。
持続可能な学校づくりと地域づくり
こちらは教育座談会ではなく、西 祐樹先生による講演内容。
テーマは持続可能な学校づくりと地域づくり。その中で何が大事だったのか?を熱く書いてありました。
生活における学校の役割が非常に高い
近所付き合いをしない親御さんが多いので、なかなかSOSが出しづらい、周囲からも捉えにくく、助けたいと思っていても、助けられない、何か起こってからしか気づかない、そんなことがニュースになっていると思われます。
不登校児童生徒も増えて、全国的な問題になっています。
実際、こういった調査もあります。私の「価値のある人間学効果」という高校生の調査で、日本は非常に低いような結果が出ているということ、それと通級指導、要保護、準要保護の生活の観察、子どもの今の現状を見たときに、本当に複雑化しているところもあって、学校の役割というのが非常に高い。
出典:茨城教育 第862号 -教育をめぐる現状と課題-
地域コミュニティの絆が弱くなり、近所付き合いがなくなってきて、昔では当たり前だったことが学校に求められてしまうという傾向が強くなっています。
例えばコロナウイルスで子供が家に残っていて、誰が面倒見なきゃいけないのー!?と慌てて、学校や、学童なしでは仕事に行けないって状況も昔だと地域のおじいさん、おばあさんが見てくれたり、集まる場所があったようです。
学校の本来の役割は子供の面倒を見ることではありません。学校の本当の役割は子供の成長を促すことです。
でも、そんな当たり前の事実とはまったく違って、「面倒を見てくれないなら何で学校があるの!?」「給料ばっかりもらって!税金ドロボー!」みたいな声が上がったりしますが、これはお門違いもいいところ。
親の就労のサポートをするのは保育園、子供を教育させるところは幼稚園みたいな目的の違いがあって、学校は子供を教育するところ。まず、地域の人はこのような認識から変えていかなければならないなと感じます。
その上で地域のコミュニティがあったら、「子供たち、行くところないならこちらに来て遊びなさい」と面倒を見てくれるところがある。
もちろん、今回は人との接触が感染になるのでその辺りを気をつけなきゃいけませんけどね。
地域コミュニティは日常だけでなく、災害などでも力を発揮すると思います。
あの人のようになりたいと子供が憧れるのは教育に必要
これは、学習指導要領の中にも書いてあることですので、例えば、これ一つ、キャリア意識です。有名なリクルートの中に、リクルートワークスというキャリア教育をずっと研究している研究所があり、この研究所が何万人規模で社会人を対象にした調査をしていたのです。
この社会人というのは何かというと、活躍をしていいる方が過去幼少期から高校とか、そういった学生時代にどういう勉強を積んできたかという調査をされているのです。
…(省略)
その中で、これからの社会も予測なんて絶対できないけれども、その中でどういった人材が必要なのか。しかも、今まさに変革の時代において成長している人たちがどういうキャリア意識をもっていたのか、将来何になりたいとか、どんな職業に就きたいという、それだけではなくて、あの人のようになりたいとか、こんな人に憧れるみたいな、そういう意識、これが、将来の夢とか希望をもって、そこに向かって意欲をもって、それが特に学習感があるのかないのかわかりませんが、そういうところの必要性をおっしゃっています。
出典:茨城教育 第862号 -教育をめぐる現状と課題-
2045年にシンギュラリティというコンピュータが人間を超えると言われる時代がもうすぐそこまで来ています。
そこには今まったく想像できない働き方や、生き方を求められている。今あるものだけでなく何か新しいことを始めよう!という子供たちがどんどん生まれてこなければいけない。
そのためには先生だけでなく、たくさんの大人の交流を増やし、こんな生き方があるんだ!とか何かしらの刺激を与えて、考えさせていくことが大事なのです。
そのためにも目指したいと思われるような大人をたくさん作ることは大事。そのために僕はコミュニティスペース 本拠地の中で、さまざまな勉強の場を用意しています。
社会との接点を持たないと本当の教育が生まれない
今、学校だけで育んでいくようなものではない、社会と一緒になって、将来を見据えた資質能力を明確にし、社会に共有していかないと、社会というのはどんどん変わっていくので、そこの社会との接点を持ちながら受け入れていく必要はまさにそれが社会に開かれた教育課程の実現ということで書いてあるというふうに考えております。
コミュニティ・スクール、一部の地域の方がまず学校のことを理解する、これからどういう子どもに育てていくのだというのをまずは一部の人から話し始めるのですが、それがここにも書いてありますように、教育を語るコミュニティですから、そういう意味で広がりをもつ実際学校が楽になっていきますし、全ての大人に期待される役割だという、保護者が勝手に教育と言われればそうなのですが、それはそうだなと本当に思っています。
出典:茨城教育 第862号 -子どもたちが身に付けるべき資質能力とそのために必要な教育の在り方-
コミュニティ・スクールの先は地域全体で「どんな子どもたちに育てようか?」が共有され、地域ぐるみで教育をすること。それがあるから、地域で必要とされている子どもたちが育っていく。
コミュニティ・スクールの真髄は地域の将来まで考えるということにあるのです。
そのためには社会でどんな取り組みをしていて、今、どんな課題があるの?と子どもたちにも共有し、共に考えていってもらうことが大切なんですね。
コミュニティ・スクールをどのように展開するか?
ここからは茨城教育 第862号に掲載された教育座談会の内容を書いていきます。全部は載せきれないのでちょっとだけですが、参考になれば…。もちろんこの内容の中に僕の意見も入っています。
僕としてはコミュニティ・スクールの立ち上げのリアルな声が出てくる貴重な会でした。傍聴人みたいに聞くだけの人がいても良いんじゃないかなって思ったりw
コミュニティ・スクールに関わる中で悩んだことや、苦労したこと
たくさんの人が話していたので全部は載せきれないのですが、箇条書きにて重要な点を書いていきます。
- 中学校区ごとに一つのコミュニティ・スクールをつくるべきか否かで反対意見も多かった。
- 一つの学区にまとめると学校評議員も大所帯になってしまう。
- 地域にコミュニティ意識がないと、学校側も誰をキーマンにして連絡とったらいいか分からないという状態になってしまう。
- 学校を助けたいという人たちがいても学校がそれを受け入れる受け皿がない。
- 学校の先生は古い取り組みを捨てることが難しい。
- 地域と学校の橋渡しになる連絡役(コーディネーター)を先生が行うと負担が増えてしまう。
- 教員の働き方改革には大分逆行する印象がある。
- いろんな熟議を重ねると、この地域でコミュニティ・スクールをする意義は何か?とスタート地点に戻ってしまった。
- あれも必要、これも必要と次々と課題が出て、全部はできない!と協議会自体がうまく立ち行かなくなった。
- コミュニティ・スクールをいつやるかはとても難しい。昼間やれば職場を休ませるしかなくなるし、夜やると夕食づくりや、子供の送り迎えで都合の悪い人もいる。土曜・日曜にしましょうというと、学校の先生が困った顔をしてしまう。
- 協議場所を学校にしてしまうとお客さん扱いされてしまうので、学校の先生の負担が増える。
- 学校の要望と地域の人との実際のマッチングはうまくいくか分からないし、効果測定するものがない。
- 地域も協力者も共通の目標とビジョンを持って…というと果たしてどこまでできるのかと考えてしまう。
- 学校としてもコミュニティ・スクールに期待することはある。でも、その協力をお願いすると一方的になってしまって、「今までと変わらないじゃないか」と葛藤がある。
- 地域と学校がお互いに相互理解してその上でできることは何か?を誰がやるか?は校長のマネジメント力にかかっていると思う。
- うまくいっている事例には地域に力強いリーダーがいる。そのリーダーがいない。
- 時間調整の難しさ。その都合が全員一致とはいかない。そうなると先生方に負担になるスケジュールになってしまう。
- 組織体型維持の難しさ。ある程度年配の方が多い。高齢化が進み、世代交代が難しく感じる。
- 教職員の温度差を感じる。先生一人ひとりがコミュニティ・スクールにかかわっているという意識にしていくことが大事。
こんなにコミュニティ・スクールの課題が明確に見えるものってないな〜と思います。逆に0から1にする際の課題は全て載っている印象がありますね。
ちょっと見にくいかもしれないですが、この課題をどのように突破するかが見えればコミュニティ・スクールは確実にうまく行くと思います。
コミュニティ・スクールをする上で工夫すべき点や、心がけるべき点
そして、コミュニティ・スクールを行う上で各学校や、地域代表が工夫してきた点です。
さきほどの課題に対してどのように取り組んできたのか?が集約されています。
- 地域とは縁も繋がりもなかったが、「子供たちのための取り組み」と言うと話を聞いてくれた。
- 教員の働き方改革とは大分逆行するので、負担が増えている。しかし、一生懸命取り組むと地域から感謝され協力してくれるようになる。そこから負担軽減が始まると理解する。
- 一度に一気にはできないと実感したので、年間活動計画作成も話し合いながら決めた。
- すでに地域にあるコミュニティを有効に活用するために地域共同本部を立ち上げた。
- 協議会の日程調整と、教職員への思いの共有を目指した。
- まちづくりをコミュニティ・スクールの延長で進めている。
- 地域の積極的なかかわりをつなげて、体系化していけばコミュニティ・スクールにつながる。
- コミュニティ・スクールの導入が教員の働き改革と逆光してはならないと強く意識する
- 最初のイニシアチブ(主導権)は校長。その後は校長が一歩下がって同じ立場で発言していく。
- 学校は地域の困りごとに目を向け、地域は学校の困りごとに目を向ける。
- 地域の人たちにも研修や、自ら他校のコミュニティ・スクールの事例を見に行くなどが必要。
- 学校運営協議会委員にはさまざまな職業、分野の方に入ってもらう。(ついつい退職した校長先生に頼んでしまいがち)
- 学校も地域もWin-Winな関係を作っていくこと。
- 子供が良くなると、地域の人たちが本当に喜んでくれる。未来につながると思って運営する。
- それぞれが当事者意識を持つこと。やりがいや、生きがい、そして楽しいと思える時間を作れるかが重要。
- 地域人材のスカウト活動はとても大事。広報活動を工夫する。
- 思いの共有をし、地域と学校の温度差をなくしていくこと。
- 学校運営協議会委員が簡単に転出したり、一過性のイベントづくりをしないこと。
- コミュニティ・スクールは管理職の果たす役割は大きい。
- 市の教育委員会とも連携をとっていかないとうまくいかない部分が大きい。
- 教職員にコミュニティ・スクールの有用性を感じられるように共通理解を図っていくことが大事。
- 連携と情報の共有、途切れのない支援が課題であり、大事なこと。
- いい面もあるけど、大変な面もあるのがコミュニティ・スクールだと理解する。
- 地域の人たちにも学校業務に携わってもらうことで、みんなで育てているという意識になり、理解につながる。
- 活動に無理はないか?労力に見合った効果が得られるかと分析を交える。
- 思い描く風景を共有する。このビジョン共有こそが地域と学校を繋ぐ鍵
地域はすでに地域活性化につながる取り組みを行っているケースが多いです。それをうまく繋ぎ合わせること。学校も地域の一つのパーツとなること。
コミュニティ・スクールの究極系は民間主導のまちづくりだと感じています。どんな街を作りたいか?そこに対して意識を共有していくことがとても大事なのです。
茨城教育を読みたいなら本拠地へ
茨城教育 第862号は各地域の教育委員会や、学校に配布されるものなので一般では発行されていない雑誌です。
しかし、コミュニティ・スクールの有識者がここまでリアルに発信している雑誌はなかなかないんじゃないかな〜と感じます。
茨城教育は私の運営するコミュニティスペース『本拠地』に置いてあるので、良ければ読みに来てくださいね〜。(まちライブラリーにも登録している町の図書館なので会員登録すれば借りれます)
学校運営協議会の設置や、その後、地域が一丸となるにはコミュニティ・スクールとコミュニティについて深く理解する必要があります。気になったらティーチャーズメディアにまとめてある、コミュニティ・スクール完全マニュアルをお読みくださいね!