今回は質問がなかったので、最近見かけたある一言について僕なりのお話を伝えて置こうと思います。

コミュニティ・スクールって行政側に都合の良い特殊な人を見つけてきて、一般の保護者の知らないところで勝手に推薦・任命するんだろうね。

おお、まさにその通り。では、なんでそのようになっているのか?どうしてそのようになってしまうのか?

お互いの目線に立ってお話をしていきましょう。

⭐ 【学校側】誰か良い人いませんか?

学校が都合が良い特殊な人を見つけてくるのには実は理由があって、『人脈がないから』が一番大きい理由でしょう。

僕が関わっているほぼ全ての学校に言えることですが、「誰か良い人いませんか?」と言われます。

つまり、先生たちは地域の有望株…つまりキーマンとなる人と知り合えていない現状があります。

そりゃ、先生たちは日夜子どもたちと関わっているわけで、地域の人たちと仲良くなる機会なんて滅多にありません。それこそ、PTAや、公的施設が頼みの綱になっていて、学校の先生が一生懸命探した先が『そういう人たちしかいない』という現状なのです。

自分を振り返ってみても分かると思いますが、会社や、家族以外の人たちと交流はありますか?と言われたら、「あんまりない…」という人は世の中にはたくさんいるのです。

それと同じこと。人との交流がなかなか持てなくなってきた時代において、積極的に人と関わろうとしない限り人脈は増えていかない。

だからこそ、今一番信頼できそうで、交流も深い人が結局、PTA会長や、図書館館長…のような偉い肩書を持つ人達になってくる。ただ、単純にそれだけの話なのです。

地域側からはもし、機会に恵まれたら「こんな面白い人いますよ」と紹介してあげてください。

⭐ 【学校側】適当な人選にしたくないんです

学校の心理としては適当な人選にはしたくない…と思っていることがほとんどです。

これは学校運営に関わることであり、変な人を入れることを極端に怖がります。

ここで言う変な人とは【意見を言うだけ言って、何も手助けはしてくれない人】のことを指します。

学校に実際に話を聞いてみると、意見を言ってくれるのはありがたいそうです。だけど、その分、日常的に協力してくれたり、やって欲しいことをやってくれない人にはあんまり入ってほしくないそう。

いつも保護者対応などのクレームを受けている学校だからこその意見で至極最もだと思います。いつも苦しいのに、学校運営協議会の場でも苦しいのだとしたら、「コミュニティ・スクールなんて迷惑だ!」と憤る先生が多いのもうなづけます。

それは私たち地域の住民が「何かできることないかな?」と小さなことから手伝う意識を持つだけで変わるんじゃないかと思うのです。

学校側は積極的に関わってくれるような情熱がある方をぜひ学校運営協議会委員に推薦してみてください。

⭐ 【地域側】よく分からないことが分からないまま進んでる

逆に地域側からもモヤモヤポイントがあります。

それが「よく分からないまま先に進む」ということです。

いきなり「委員になってください!」と言われ、委員になったらコミュニティ・スクールとは何かよく分からないまま、何を目的をしているか分からないまま授業参観し、誰かも分からない人たちと評価を求められるケースが一般的になっています。

これだと意見なんて言えるはずもなく、必ず『Yes』と言わざるを得ない状況を作り出しているとも言えます。

これを僕たちの間では、『なんちゃって学校運営協議会』と評していますが、この状態が解消されない限り、コミュニティ・スクールは本来の目的を果たせないと思います。

学校運営協議会で大事なのはまず、最初にムードづくり。そして分からないことの解消、その次に対話です。

これから学校の運営を一緒に考えていく『仲間』になるわけですから、学校としては学校評議員のような固さではなく、最初は地域の井戸端会議のような緩さで進めることが大切ではないかと思います。

ちなみに地域側としても「花壇のお手入れとかやっていいですか?」と主体的に何かできることがないか探して動いていかないと、学校としては受け入れがたいです。学校は意見ではなく、行動を見て判断するので、動ける時は積極的に関わっていきましょう。

⭐ 【地域側】俺たちは学校のお手伝いしにきてるわけじゃない

コミュニティ・スクールの勘違いポイントで一番大きいのは『学校のお手伝いさん』に成り下がってしまうことです。

もちろん、学校のお手伝いがなくて良い訳ではありません。しかし、学校のお手伝いだけではないというのが学校運営協議会で、何を手伝って欲しいのか?をしっかり伝えていかなければ、地域側としては「何のために手伝っているのか?」が見えづらくなっていきます。

「俺たちは学校のお手伝いしにきてるわけじゃない」という言葉を言われた先生たちも多いと思いますが、この言葉は決して「手伝いたくない」と言っているわけではなく、「これを手伝うとどんなことが子どもに還元されるのかが分からない」と言ってるのと同じです。

だからこそ、ちゃんと困っているという事実を隠さず伝える努力をしないと、「とりあえず校庭の落ち葉でも掃いてくれれば良いですよ」しか言うことなくなってしまい、地域としては「本当にこれで先生の負担は軽くなるの?子どもは幸せになるの?」と分かりづらくなります。

しっかり困っていることを伝えるというのは学校にとっては中々勇気がいる決断で、「自分でやったほうが早い」と思うものを手放していくことも必要ということ。

他の地域ではどんなことを手渡しているんだろう?って事例を探してみてください。うちではできないって感じるかもしれませんが、「もしかしたらできるかも?」と思ってダメ元で頼んでみると、地域は喜んでやってくれるかもしれません。