さて、今回お答えする質問です。

「文科省の進めているコミュニティースクールは日本に馴染むのですかね?地域からの要望や学校の負担を減らす事になるのですか?
公民館が地域のコミュニティの核になればいいし。学校にもっと教員を増やせばいいにと思うのですが。
現在の状況ですと高齢化で自治会、共働きでPTAも存続が厳しいと思います。逆に地域や学校の現場の負担が増える様に思えるのですが。」

元々、コミュニティ・スクールは海外の取り組みを真似たものになっています。

さらに日本では公民館という施設があります。これではダメなのか?

この質問は長いので、要点を絞って3つの聞きたいことに分けていきましょう。

  1. 日本に馴染み、学校の負担を減らすことに繋がるのか?
  2. 公民館が核になって、もっと教員を増やせばいいのか?
  3. PTAの存続は難しく、新しく制度を作っても地域・学校現場の負担が増えるのではないか?

という点ですね。

⭐ コミュニティ・スクールは学校の負担を減らすのか?

①の部分ですが、コミュニティ・スクールの考え方自体は海外の仕組みを真似たものになっています。

海外の事例からだとしても、日本人の考え方が

「コロナで希薄化してしまった繋がりを太くしたほうが良い」

「できる人ができる時にできることをやった方がいい」

「やりたい人が手を挙げる方式のほうが良い」

という考え方に変わってきたように思います。

これは海外の事例でも大事だと言われている部分です。

少なくともコミュニティ・スクールを地 縁的コミュニティから解放する視点を得る上では有益であろう。オルセンが第1版の挿絵で「本土」 として描いたコミュニティには教師や保護者の姿が見えないが、自由に人々の行き交う第2版の挿絵 では、教師らしき人や保護者らしき人が住民らしき人々の中に混じりあっていた。地縁ではなくアソ シエーション的に構成されたコミュニティでは、保護者や教師もその機能に応じて正当に位置づけら れる。そのような可能性が、「コミュニティ」の内実のあり方からコミュニティ・スクールを構想する ことによって開けてくるのではないだろうか

出典:占領下学校管理改革における学校―保護者・地域連携 平成23~25年度科学研究費補助金(基盤研究(&))「学校管理経営論におけるコミュニティ の位置づけに関する比較史的研究」

今や、PTAですらも学校の負担になっているという事実から分かるように、やりたい人がやりたいことをやっていくという仕組みに変わってくれば、もっと義務感なく関われる集まりになるかもしれないと感じていますし、

多くのコミュニティ・スクールの事例を見ても、地域コミュニティが盛り上がっているところは、学校の負担感が少ないと感じています。

⭐ もっと教員を増やせばいいのか?

公民館は新しい核になりづらい

今までの地域コミュニティの拠り所であったのは公民館です。

しかし、公民館に集まるのはシニアばかり。

働き世代の方々の公民館活用率はかなり低いようです。

では、働き世代の接点となる場所はどこになるのか?というと、公共機関では学校が一番多いのかなと感じます。

シニアを中心とするなら、公民館が核で良いですが、30〜40代と共に進むなら学校が一番核に適しているし、その年代は教育に関わりたい層が思ったよりもいるのも特徴です。

教員は増えるのか?

働き方改革の点だけを見れば、教員を増やせば良いと思うかもしれませんが、実は予算は余っていると言われていて、募集をかけても入りたいと思う人が減ってしまったからこそ、困っている。

実際にメールや、電話で「教員免許を持っている人いませんか?」という相談を何回もいただいています。

「声はかけているんだけど、やりたいって思ってくれる人がいない」と言われていたし、教育委員会としても「予算はあるんだけど、働きたいと思ってくれる人がいない」と言っていたことを聞いたことがあります。

お金はあっても人がいなければ、採用にはなりません。

そんな人が減り、なり手もなかなか見つからないという状態であるという事実に目を背けずに考えるのならば、他に手はないのか?と考えるのが大切。

その手段の一つとして考えられるのがコミュニティ・スクールのように、地域コミュニティの人材活用だろうと思います。

さきほど、30〜40代であれば、教育に関わりたいという層がいっぱいいるのです。と言いましたが、そういう人たちのニーズと結びつけることができれば、地域の活性化、教員の働き方改革に繋がっていく可能性はあるかなと個人的に考えています。

⭐ 新しく制度を作っても地域・学校現場の負担が増えるのではないか?

これは現在のPTAが多くの学校で負担になっているということにも繋がって、こういう意見が出てくると思っています。

ハッキリ言うと、コミュニティ・スクールは負担は増えると思います。

なぜなら、学校の教頭先生がコーディネートしたり、地域人材を授業に活用したり、ボランティア動員のイベントを行ったり…があるから負担が増えてきます。

※地域にお任せでき、負担が減る部分もあります。

また、コミュニティ・スクールが盛り上がっている地域の事例を見ても、

「会議が増えた」

「資料の作成が増えた」

などのデメリットもあります。

しかし、盛り上がっている地域の事例を見て感じることですが、

学校現場であれば”負担感”が減ったと感じています。

負担感とは簡単に言うと

『徒労感(やったことが報われない、無駄であると感じる)』ことや、

『不安(保護者とのクレーム対応や、自分ひとりで進めなきゃいけないと感じる)』こと。

なんでこんなことをやっているのか分からない、保護者にクレーム対応をしなければならない…

なんてことはほぼ起こっていませんでした。

それこそ、人間関係が良くなったと感じるからです。

また、地域として負担になるのか?というと、そういうわけでもありませんでした。

地域の人たちは「やりたいから関わっている」という人が多くいたからです。

『やらされ感』や、『義務感』で動くような形でないところが、地域にとっても、先生にとっても良い結果をもたらしているんだろうなぁって感じています。

そういう点で言えば、負担はほぼ変わらないかもしれない。だけど、負担感は大きく減る。

どんな仕事であっても負担はあります。それをやりがいを持って楽しくできるか?というのは、働き方改革としてとても重要な観点だと僕は思います。