こんばんは。
教員支援ネットワーク T-KNITのいがぐりです。
普段は私立の中高教員をしており、個人でもブログを書いております。
よろしければ、ご覧ください。
皆さんの学校では、一クラスあたり何名の生徒児童が在籍しているでしょうか?
少ないところで30名前後、多いところだと50名近く在籍しているような学校もあるのではないでしょうか?
今日は少人数学級について考えていきます。
⚡疲弊感や多忙感はどこから?
学校で働いていると、忙しい毎日が続き、どことなく疲労感や多忙感に苛まれることはないでしょうか?
日中は生徒がいるので、落ち着いて自分の仕事ができず、大体の場合部活動や放課後の生徒が少なくなった時間帯に行うということが多いと思います。
それぞれ別々の事情や課題を抱えているわけで、計画的に行かないことの方がほとんど。
突発的な問題もよく発生します。
一般的な職業であれば、たまにしか生じないであろうトラブルといったものが常に発生し続けるのが教職というものです。
こういったところから肉体的な疲れに加えて、精神的な疲れも増え続けていくわけです。
これらを楽しめるのであれば、教員は転職とも言えるのかもしれませんが、誰もがそうあれるわけではありません。
では、どこに解決策はあるのでしょうか?
👤必ずしも少人数学級が解決策ではない?
単純に生徒数が少なくなれば、その分だけ起きるトラブルも減るはずと考えるのは通常だと思います。
しかし、そう単純には話が進まないわけです。
実際に少人数学級に変更していけるという学校も少ないですし、政策を進めて制度として教員一人当たりの人数を削減しても意外と負担感は減らないのかもしれません。
古い書籍ではありますが、こちらの資料はそのようなことを論じています。
『The Class Size Debate(学級規模論争)』という書籍で、この資料では、2人の著名な経済学者、アラン・クルーガー(Alan B. Krueger)とエリック・ハヌシェク(Eric A. Hanushek)が、少人数学級の有効性とその測定方法について議論した内容が掲載されています。
特定の条件下において少人数学級が有効であるかもという情報はあっても、それが確実に有効であるという決定的なデータはないというのが現状です。
また本書では、教員の数を増やして一人当たりの生徒数を減らした政策も例に挙げていますが、むしろ逆効果だったという結果についても論じられています。
人数を減らせば学力が上がるとも言い難いものなのです。
確かに集団がとにかく学習を自発的に進めていくというものであれば、人数が多少多くても自ら自走し続けるはずですので、負担感疲労感はそこまで増えないわけなのです。
🏫個別最適化のための正解はどこに?
とはいっても、このアプローチが完全に無駄というわけではありません。
当然、少人数になることで一人当たりにかけられる時間は増えるわけで、それが効果的に働くということだって十分に考えられるわけです。
何より、教員の心理的負担感は大幅に減少することが考えられます。
では、今の教育にとって本当に効果的なアプローチは一体なんなのでしょうか。
個別最適化という観点に絞って考えた場合、ある程度の人数削減は必要です。
そしてそれに加えて、生徒に対してのアプローチの凸凹を許容できる風土が必要になるかと思います。
全員が全員同じ生徒でないわけで、そこに対する支援のあり方もばらばら。
学校として皆に同じ教育を一律にという部分を前提に教育してしまいますが、ある点においてはその固定概念を壊して教育していく必要があるのではないでしょうか。

