塩畑(ソルティー)です。
最近は研修ウィークで、一週間に4つも研修を行うということがありました。
その中で自分が関わる学校でのコミュニティ・スクールの事例を話すことがありましたが、地域と学校の協働というのは口でいうほど簡単にできるものではないと実感する出来事もありました。
なかなかにハードな内容ですが、これからコミュニティ・スクールを行う時、こんなことに遭遇する人もいるかもしれません。
今回は
「自治会とコミュニティ・スクール」
をテーマに話していきましょう。
自治会とコミュニティ・スクール
コミュニティ・スクールではさまざまな人の相互協力が必要不可欠です。しかし、その中でも真っ先に上がるのが、その地域を取りまとめている有力者、その集まりとなる自治会(もしくは区会)です。
最近では、自治会がなくなる、区会がなくなるという話もチラホラ聞こえてきますが、そのようになくなってしまった地域は生活が大変困難になるか、税金が上がっていくかのどちらかになるでしょう。
例えば、カーブミラーの設置や、木の伐採などにも関わっていることがあり、自治会は人知れずこれらの困りごとを解決し、住みよいまちづくりの一助になっています。
自治会は地域の縁の下の力持ち的な存在ですが、行政との強い結びつきがあって、なかなかの影響力があります。これは地方にいけば行くほど影響力が強いでしょう。
コミュニティ・スクールとして地域の力を得ようと思ったとき、必ず避けては通れないのがこの自治会との協力関係となります。
協働できるようになれば、学校周辺のインフラ整備にも大きな力となってくれるでしょう。
自治会には自治会のルールがある
しかし、自治会との協力は実は簡単には行かないケースがあります。
それは自治会には自治会のルールがあり、学校とは組織同士の繋がりとなるからです。
分かりやすくいうと、クロネコヤマトと佐川急便が一緒にやりましょう!って手を結ぶ感じでしょうか。
やっていることや、目的は似通っていても、細かな手段が違っているので、そのすり合わせがなかなかうまく行かないことが多いのです。
僕が関わっている学校で、150周年記念事業で自治会の力を借りたいとなった時、話を持っていくことになりました。
しかし、その時には
「なぜ校長が挨拶に来ないんだ」
「なんでこの地域の人じゃない人が依頼しに来るんだ」
「お願いをするなら依頼文書などにまとめて会として決定をする必要がある」
など、いろいろなことを言われました。結局、組織として協力してほしいという場合は手順が必要だったり、トップがお願いしにいかないといけないなど、今までの文化があります。
悪く言えば古いしきたりとも言えますが、100人規模の組織の長として全員の納得を得るのは、しっかりとした手順を踏まないと得られるものではないんだろうなと今になれば感じることもあります。
自治会として協力を得たいのか?個人として協力を得たいのか?
その後、結局どうなったか?というと、学校運営協議会として話し合い、個人として参加するかしないか…を選んでもらうことにしました。
本来であれば、文書を作成し、自治会に正式にお願いしていく形になるでしょう。
しかし、『お願い』である以上、主体的な関わりはどうしても薄くなってしまいます。
コミュニティ・スクールは地域の主体的な関わりが重要な部分だと個人的には思っているため、「お知らせをして、入るも入らないも自由にしたほうが良いと思う」と話を出し、全員が納得してその道に行きました。
説明会を設けるなど、丁寧にした分、最初は大変になることばかりでしたが、今、集まっているメンバーは「関わりたいから関わっている」という意識を持っている人が非常に多いです。
組織として協力を得られれば、たしかに良い面も多いし、一気にメンバーも増えることでしょう。
ですが、やらされ感でやってしまっては辛くなってしまうし、持続可能な取り組みからは遠くなってしまう。
「一緒にやっていくんだ」という意識をしっかり持ってもらえる工夫をすることが、これからのコミュニティ・スクールでは大事ではないかなと思える一幕でした。