この記事で分かること
  • 学校支援ボランティアがいると役立つこと
  • 学校支援ボランティアを集めるに当たって、誰が集めると良いのか?
  • 学校支援ボランティアと教育委員会の関係とは?

30代 女性の方から質問をいただきました。

おはようございます。
私は、今、 教育委員会に所属しています。
そこで、来年度のコミュニティースクール、本格実施に向けて、 ソルティーさんのご協力も得ながら、着々と準備をしています。
そこで、新たな課題が生まれました。

学校支援ボランティアについてです。
学校支援ボランティアとは、学校をサポートする地域の人、環境整備、 登下校見守り、授業サポートなどを行う人です。
しかし、生涯学習課のコミュニティースクール担当の人が、
学校支援ボランティアって、そもそも組織化する必要があるの?
ボランティア集めとか、継続とか大変そうじゃない?
そんなに大々的に町に広報をしない方がいいんじゃない?
と言っていて、私としては「大変だからやらないとか、こっちは選択肢にないんだよ」と、ちょっと感情的に思ってしまったんです。

でも、確かになぜ学校支援ボランティアを作るのかを、私たちがわかっていないといけない。
作るからには、継続できるシステムも必要だと思うのです。
ちなみに、私が 学校支援ボランティアの効果として捉えているのは、
学校の先生の負担が軽減できる→子どもたちと向き合う時間が作れる。
子どもたちが応援してくれる→地域の大人たちを感じる(人とのつながり、信頼、郷土愛)
町民の当事者意識→学校と地域はパートナーとして、教育に取り組む風土ができる
です。

ソルティーさんは、 学校支援のボランティアについて、どんなふうに考えていますか。

質問ありがとうございます。

学校支援ボランティアは、学校としても、地域としても、そして何より子どもたちにとってメリットがあります。

しかし、実際にどう集めていくの?ってなったり、そもそも集める側がメリットを知って、集める明確な意図を作って募集しないと簡単に人は集まってくれません。

今回は学校支援ボランティアを集めるメリットと、どのように集めるのか?についてお話します。

学校支援ボランティアのメリット

学校支援ボランティアを活用することで、学校・地域・子どもに大きく分けて4つのメリットがあります。

子どもと向き合う時間が増える

先生が一人ひとりを見る

学校支援ボランティアがいると、学校教員、地域住民がそれぞれ子どもたちと向き合う時間が増えます。

ボランティア活動を通じて、学校教員の『子どもたち一人ひとりを見取る』という観察の時間が増えるのです。

今の学校教員はアンケート、草取り、花壇の整備、教室の椅子の整備、清掃、消毒、剪定、部活動…。とにかく環境整備など、直接子どもに関係しない内容で大きく時間を使っています。

その時間は本来、子どもたちの観察に使われる時間。

学校支援ボランティアがいることで環境整備に関わる時間が減り、子どもたちの育ちが加速していくのです。

スキルを活かし、学び、生きがいに繋がる

学校支援ボランティアをする人々

学校支援ボランティアとして活躍すると、『今自分ができること』で参画することになります。

これは自分としての価値を認めてもらえる瞬間であり、自己実現欲求を満たす大きな役割を果たしていきます。

さらに、子どもたちは学校以外のスキルを見聞きする瞬間が増えます。

「こんな大人になりたい」「自分もやってみたい」という機会が増えることで、将来に対する期待を高め、人生のターニングポイントのキッカケが増えるでしょう。

人脈が作られ、地域活性化に繋がる

ランチ会を開くママ

学校支援ボランティアの存在は地域活性化にそのまま繋がります。これは人と人が出会うキッカケになり、ボランティアをキッカケに友人になっていくからです。

また、子どもたちも「地域の○○さん」と覚えることによって、挨拶運動が加速します。

挨拶が多い地域は知り合いの数が多いということでもあり、それだけ地域活性化が進んでいる証拠でもあるのです。

このような地域活性化が進んでいる地域では、児童・生徒たちの顔見知りが増え、挨拶が増え、安全も高まっていきます。

子ども一人ひとりの発達段階に応じた対応をしやすくなる

走っていく子ども

学校支援ボランティアが多くなることで、子ども一人ひとりの対応がしやすくなります。

学校教員が子どもを見る時間がないというのは、単純に一人で見れる数には限界があるからです。学校教員が一人で1クラス30人を丁寧に見る…というのは非常に難しいのです。

ソルティー
ソルティー

たとえば、「先生!」と声かけられて、対応している時に別の子どもから「先生!」って声かけられても対応できない。当たり前なようですが、個別最適化を阻む大きな要因です。

授業中はもっとこの差が大きくなり、戸惑っている子もいれば、先に進んでやることがない子、つまんなくて教室を飛び出してしまう子も出てきます。

ここではスキルではなく、単純に数が必要なため、多くの学校支援ボランティアによる補助があれば、学校教員も子どもたちも非常に助かるのです。

学校支援ボランティアの課題

学校支援ボランティアを作り、維持するためには課題が必要になってきます。大きな課題はこの3つです。

ボランティアとの連絡・調整役が必要になる

コーディネーターと夫婦

学校にとって一番負担がかかってくるのがこの部分。実はボランティアとの連絡・調整役は最初、教頭先生が行うことになることが多く、教頭先生が始めてしまうと、それをなかなか外部に渡せないというジレンマが発生します。

ボランティアも連絡が来なければ、保護者のような近い人でも出動してくれる人はほとんどいません。

その連絡をするために教頭先生が動く。学校の負担を減らすために、学校の負担が増えてしまうのです。

その役割を果たす、地域学校協働活動推進員などの学校以外のコーディネーターは非常に重要な役割を果たすでしょう。

地域学校協働活動推進員?

地域学校協働活動推進員は以下の3つの役割があります。

  1. 地域と学校の連絡調整
  2. 企画・調整・運営
  3. 地域住民に呼びかけ

コミュニティ・スクールを加速させるには必須の存在です。委嘱できるのは教育委員会のため、始める前に予算をつけておきましょう。

詳しくは地域学校協働活動推進員(コーディネーター)の方をご覧ください。

名簿よりもお互いを深め合う時間が必要

談笑するママたち

地域学校協働で作られがちなのが人材バンクです。ですが、この人材バンクは作った人のエゴになりがちで、実際には利用する人はほとんどいません。

そして、登録したのに声がかからないということで、結局廃止になるケースが非常に多いのです。これは、管理・更新する手間が非常に大変になるからです。

さきほどの連絡・調整を行なう人が持つ名簿は必要かと思いますが、実際に話したり、触れ合ったり、一緒になにかしたりという時間のほうが大切です。

名簿の中に絆を作るのではなく、頭と心に絆を作っていくことが大事になります。

そうした時、学校としては忙しすぎてこの時間がなかなか作れません。これも地域学校協働推進員などの地域コーディネーターの出番となるでしょう。

知識や、知恵を育てる場が必要

セミナー講師が喋る

学校にボランティアをするということは、学校に入っていく人(先生もそうですが)が学んだり、考えたりしなければいけないことがたくさんあります。

  • 学校に関する知識を知る
  • 世の中で起こっている変化を知る
  • 必要となるスキルの向上
  • 子どもたちや先生に対するマナーを知る…など。

ボランティアに来てもらったのに、逆に迷惑をかけてしまった…というケースもたまにあります。

そのためにメンバーや、先生が学習する機会を設け、指導していく必要があるのです。

本来、その役目はPTAが担うことになっているのですが、今のPTAはどちらかというと、学校の行事をお手伝いする運営体系になっていることが多いのではないでしょうか?

そうなってしまうと、やはりボランティアが欲しいと思っている学校が企画・運営を先導しなければならなくなります。しかし、そんな時間はありません。

このような大人の学習の機会はボランティアになる・ならないに関わらず必要になる知識です。学校でできないのであれば、自ら企画していったほうが良いでしょう。

学校支援ボランティアにおける教育委員会の役割

学校支援ボランティアを0から作る時、学校には余力がないため、教育委員会が手助けするほうが良いでしょう。(コミュニティ・スクールの最終まとめでは教育委員会がやると明示してあります)

ここからは質問に答える形で教育委員会の役割についてお伝えします。

なぜ学校へボランティアしなければいけないのか?という課題意識を作る

なぜ?

そもそも公教育を助けていくというのは「なぜ助けるのか?」という視点が非常に重要です。

全ての人たちが社会で学んで、そして自らの幸せを作り上げていく時、地域は何かしらの危機感、何かしらの不安を必ず持っています。

そんな中で、なぜ『わざわざ』学校にボランティアしにいかければいけないのか?が自分の中で繋がらないと、積極的に参加してくれません

ボランティアをやるからには、どうせだったら楽しくやってもらいたいし、どうせだったらいろんな人と知り合ってほしいし、どうせだったら学んでほしいし、いろんな価値観があるって気づいてほしい。

その上で子供たちが喜んでくれる。先生たちが喜んでくれる。

そして、この地域が良くなっていってるから、もっとボランティアを自分たちの手でやっていきたい!っていう風に、そういう主体的なボランティアをきっと欲しいと思ってると思うのです。

教育委員会は第三者機関として、学校支援ボランティアへの目的意識を醸成する必要があるでしょう。

ソルティー
ソルティー

特にボランティアもない、地域も疎遠になりだしている、学校も忙しい…という状態になっている時、動き出せる存在はほぼ教育委員会しかいないのです。教育委員会がコーディネーターとして主体となり、仲間を作っていきましょう!

主体的な学校支援ボランティアを育てる

勉強会の企画

多くの人が学校支援ボランティアというのは「何か雑用のようなものをやらされる」というイメージを持っている方が多いです。

でも、そうした『やらされている』イメージだと、 喜びも半減してしまう、学びも半減してしまう。

自分がこれをやりたいと思って、ボランティアをしていないっていうところが非常に問題なのです。

  • 自分は一体どんな地域・学校にしたいのか?
  • そのためには自分はどんな手伝いができるのか?

この2つを引き出して学校支援ボランティアに関わるようにしていく必要があります。

そのために連続的な講座や、研修などを企画し、主体的に関われるようにしていきましょう!

ボランティアを集める時の注意点

課題と一口に言っても、実は要求課題と必要課題に分けられます。

教育委員会は「今、ボランティアを集めなければならない」と必要課題に迫られがちで、つい「やれる人いませんか?」と呼びかけてしまいます。

しかし、地域の人たちには別の課題があります。

  • 子育てについての悩み
  • いろんな人と触れ合いが少なくなった
  • 町内会がうまく回っていない!どうしよう!

このような悩みを要求課題と言い、この課題の解決に沿うように人を集め、解決するためにボランティアは必要!という意識を持たせていくと良いでしょう。

課題に人は集まる。どの課題をチョイスするかを考えるのは教育委員会の仕事です。

住民の主体的な活動を支援することが仕事

共に仕事をする男女

教育委員会には生涯学習課、社会教育課という課があります。この課はボランティアの人たちの主体的な社会活動を自由性を保ったまま広げていくサポートすることが仕事です。

質問の中に「そもそも組織化する必要があるのか?」と書かれていますが、ボランティアが大きくなったら、必ず組織化する必要が出てきてしまうものなんですね。

生涯学習課、社会教育課は一体何をするところか?

そもそも生涯学習課や、社会教育課は何をするところなのか?を考えてみましょう。

「ボランティア集めとか、継続とか大変そうじゃないか」「そんなに大々的に街に広報しない方がいいんじゃないか」っていうことをもし、思っているのであれば、この社会教育、生涯学習っていうことに関してもっと学びを深めないといけないかなとは思います。

なぜ社会教育というのがあるのかっていうと、住民の人たちがもっと自由に自分たちの見えている課題をどれだけ解決でき、生涯の学びから人生を豊かにしていくっていうところが本筋なわけです。

教育委員会、特に生涯学習や社会教育に携わる人たちは、 自由な教育を推進していく人なのです。

「コミュニティ・スクールで、ボランティア集めや継続とかが大変そうじゃない?」っていうのは、もちろん大変です。でも、だからこそ生涯学習課(もしくは社会教育課)の仕事となっています。

忘れてほしくないのは、もし、地域の人たちが「やりたい」と言ってるのであれば、それを手助けしていくのが本当の役目です。

今回の質問の方がどうした方がいいのかなとか、 悩んでることがたくさんあると思うんですが、そんな時に一つの指針となるのが、教育委員会の立場の人たちに立つのではなくて、地域住民の人たちの立場になって、話を聞いてあげること。

行政というのは地域住民の味方です。

ソルティー
ソルティー

特に地域住民の人たちは、 誰に相談していいかわからないっていうことが非常に多いので、そこを大切に思っていただいて、ぜひその人たちの味方になっていってほしいなと僕は思います。

学校支援ボランティアは今、学校になくてはならない存在に

学校支援ボランティアのメリットと必要な項目は以下の通りです。

メリット
ボランティアの活動を活発化するために必要なこと
  • 先生も地域も子どもと向き合う時間が増える
  • スキルを活かし、生きがいに繋がる
  • 人との繋がりが増え、地域活性化になる
  • 子どもの個別最適化がしやすくなる
  • 地域コーディネーターを育成する
  • 組織化は必要になる
  • 組織内の人間関係を円滑にする仕掛けが必要
  • 定期的な研修会を企画する
  • なぜボランティアしたいのか?を引き出す
  • 教育委員会が”積極的”に関わっていく

学校や、地域を取り巻く課題は大きくなってきています。そして、人口はだんだんと少なくなってきています。

この現象に立ち向かうためには今、動ける人で手を取り合って生きていく必要が出てくるのです。

そういう意味では、学校支援ボランティアは地域で手を取り合うキッカケの一つになっていくでしょう。

その時、教育委員会はとても重要な役目を担います。その時、あなたがどう考え、どう動くかが非常に重要なのです。

頑張ってください。応援しています。