現在、「主体的・対話的で深い学び」や「アクティブ・ラーニング」といった言葉は広く認知されるようになりました。

これは、2012年に文科省の中央教育審議会から提唱され、ここ10年の学校教育の在り方を変えていきました。

今回は、学習指導要領上で「主体的・対話的で深い学び」や「アクティブ・ラーニング」がどのようなものかということは置いといて、私が日々の授業の中でどんなことを感じ、考え、実践しているのかをお話したいと思います。

「主体的・対話的で深い学び」をするために生徒が必要なもの

まず、「主体的」という言葉があります。ざっくりいうと、自ら進んでやるということ。

学習とは、まだ知らない未知なことに取り組んでいくわけですから、主体的に取り組むにはチャレンジ精神が必要となります。

次に、「対話的」という言葉。これもざっくりというと、相手と向かい合い、自分の考えを表明し、人の意見を聞き入れる心を持つということ。

自分の意見を表明すると、もしかしたら受け入れてもらえないかもしれないし、反対意見を言われるかもしれません。自分と全く意見の合わない人の意見を聞かなくてはならないかもしれません。

この「主体的」と「対話的」の2つが合わさると「深い学び」につながるということになるのですが、そこまで進むのが本当に難しい。

なぜなら、チャレンジするのも対話するのも「勇気」がいるからです。

「主体的・対話的で深い学び」を実践するために教師が必要なもの

教師の立場から「主体的・対話的で深い学び」を考えていきましょう。

ほとんどの先生は、学生時代、板書中心の授業を受けてきました。そこで、ある程度優秀な成績を収めて先生になるというのが一般的な流れになります。

ということは、先生は「主体的・対話的で深い学び」をほとんど経験していないということになります。

しかし、授業でやらなくてはならない。経験もしていないことを最大40人の生徒を前にやらなくてはならないのです。

対話的な授業ですから、時には先生も自分の考えを表明しなければならないことがあるでしょう。そんな経験をしたこともないのに。

これまでの教師は、知識を多く持つ教師が知識を持たない生徒に知識を伝えていくということで優位性を持たせ指導をしてきたのに、急に自分の意見を言わなくてはならなくなってしまったのです。

もしかすると、生徒以上に「勇気」が必要なのは先生側かもしれません。

勇気を身につける教育を実践していく

では、先生も生徒もどのように勇気を身につけていくのか。

まずは先生が勇気を持つことです。日々の仕事の中で、「わたしって、そこそこ頑張ってるな」と思ったのなら自信を持ってください。自信を持って良いくらい先生方は頑張っています。その自信をもとに自分を勇気づけてください!

そして、その勇気で先生が踏み出すことです。先生がその姿を見せることで、生徒も踏み出せるようになります。

ほんの少しでいいので、グループ学習を試してみる、ICTを活用してみる、フレームワークを使ってみる。

そのときに、「先生も初めてやることだから上手くできないかもしれないけど協力してね」と言ってみましょう。生徒はなんとも思いません。むしろ新しいことをやる先生に生徒は協力してくれます。

そして失敗したら職員室で笑い話にしましょう。仲間の先生が増えていきます。

その文化が根付くと先生も生徒も勇気を持ってチャレンジできるようになります。

もし、職員室にそんな雰囲気がないとしても大丈夫。全国にはたくさん実践し、失敗し、成功できるようになった先生がいます。

どこにいても、誰とでも繋がれるようになった時代。少し空いた時間に、ネットに、リアルに、仲間探しの冒険の旅に出てみるのもいいかもしれませんね。