コミュニティ・スクールって高校に導入できないんですか?という相談をいただきました。

コミュニティ・スクールって教育委員会が設置して、学校がやる!みたいなことになるので、どうしても「義務教育に携わる小学校・中学校の話でしょ?」っていう風に思われがちです。

でも、そんなことはなく、実は高校もやろうと思えば設置できるんです。

今回は

  • コミュニティ・スクールを高校に導入するってどういうこと?
  • どうやったら設置できるの?
  • 設置するとどういうメリットがあるの?

っということについて、実際に高校にコミュニティ・スクールを設置した事例を取り上げながらお話をしていきます。

コミュニティ・スクールが気になっている人が増える背景

そもそも、学校と地域社会ってなぜこんなに溝が深くなって騒がれているのか?

これが僕自身の個人的な見解ですが、負のスパイラルとなる7段階が作用していると思っています。

  1. コミュニケーションの不足が目立ち始める

    知らない人が隣にいる、全く関わりのない人ばっかり、初めて会うから話しかけにくいなど

  2. 過疎化が進んでしまう

    仕事もないので、生活にならなくなってしまうことも多く、他の県に移るケースが多い

  3. 地域も空き家が目立ち、空洞化が始まる

    どんどん人口が減り、学校と地域の距離も遠くなって、疎遠になっていく

  4. 地域と学校の連体意識が希薄になっていく

    教職員の数も少なくなり、全然違う場所からこっちにやってくるケースも増えていく

  5. 核家族化や、地域の連携も減り、子どもたちを取り巻く教育環境が厳しくなる

    助け合うのではなく、叱ることがベースになってしまう。心配や、不安が先に来てしまう

  6. 子どもたちの教育荒廃が広がっていく

    非行、暴力、いじめ、登校拒否など子どもたち自身の行動が変化し始める

  7. 画一的な行動や、硬直して柔軟な対応が取れず、例年通りにするのが当たり前になる

    課題は分かっているけど、踏み込めなくなってしまっている

この負のスパイラルによって、教育界全体に悪い影響が広がっていると感じています。

高校にコミュニティ・スクールは設置できるのか?

基本的には小・中学校と同じ流れで設置できる

コミュニティ・スクールというと、小・中学校の特権のように感じますが、高等学校でも設置できます。

基本的には小・中学校と同じ流れで、最低でも以下の3点を守れば設置できます。

コミュニティ・スクールの設置ポイント
  1. コミュニティ・スクールを設置しても良いというモデルとなる学校を探す
  2. モデル学校から地域の代表となる学校運営協議会委員を選出する
  3. ○○市学校運営協議会規則を作り、教育委員会が設置
ソルティー

基本は教育委員会が設置しますが、地域側から設置した身としては、コミュニティ・スクールに関係なく、地域・学校(できれば教育委員会も)が共に話し合う場を作り、広げることが第一歩になるかなーと思っています。

高校にコミュニティ・スクールを設置する意図

地元から通うってことが少ない高校にコミュニティ・スクールって必要なの?って思われるかもしれませんが、より良い教育を目指すなら必要になります。

コミュニティ・スクールを設置する狙いとは何かを知っていきましょう。

高校を拠点に地域活性化

高校を拠点に地域が活性化するということは良くあります。

なぜかというと、高校は地域以外からの子どももたくさん訪れる可能性があるからです。

小中学校は自分の近くの学校に行くというのが当たり前ですが、高校の時点で初めて外部の地域に出る!という子どもがたくさんいます。

つまり、人気の学校はたくさんの子どもが集まりやすいということ。

しっかり、コンセプトや、テーマを決めて「ここでしか学べない!」って思えば人は集まります。

例えばこんな高校
  • N高等学校、S高等学校
    オンラインが主ですが、通学もあります。なんと同じクラスに1000人単位で人がいるようです。ICTによっての個別最適化を地で行ってるなって思います(笑)
  • 慶應義塾女子高等学校
    こちらは通学メインですが、選択できる授業がウリ。慶應義塾大学への通過点とも言われ、昔から人気の高校です。

地域人口が高齢化で、過疎化が進んでるんだったら「高校を拠点にこの地域を蘇らせていこうぜ!」も不可能じゃないなと思います。

コミュニティ・スクールで改善した高校の事例

コミュニティ・スクールを導入することで学校運営が改善できた高校はあるのか?というと、いくつかあるんです。

高知県大方高校

高知県の大方高校は事例の一つとして挙がるでしょう。

高知県では、中学校卒業者数の急激な減少、生徒の多様化、不登校や中途退学等の教育課題の深刻化など、県立高等学校を取り巻く状況はますます厳しさを増しており、全県的な高等学校再編は避けられない状況にある

出典:公立高等学校におけるコミュニティ・スクール導入の意図とその成果について(P12)-奈良県教育委員会

高知県は本当に自然豊かなところですが、中学校の卒業者が急激に減少して、生徒が多様化して不登校、途中で退学などの教育課題が本当に深刻化してきているらしいです。

PTAなど地域住民は最初、反対。

しかし、PTA連合会の会長が「このままじゃいけない」と期待を寄せていました。

「高校の廃校により、地域に最大の『空き家』が生まれ、地域が疲弊することを懸念する一方で、新しい高校として生まれ変わることで地域活性化の拠点になることに期待を寄せていた」と述べている。

出典:公立高等学校におけるコミュニティ・スクール導入の意図とその成果について(P12)-奈良県教育委員会

そうしてできたのがシェアオフィス テレキューブ。

他にもいくつか事例があるんですが、学校運営協議会の影響があり、このような施設や、学校改革がなされていきました。

北海道別海高等学校

北海道にある別海高校も候補に挙がってくるでしょう。

別海高校では町長と教育長がメインとなって動き出しました。

別海高校では、定時制酪農科が「別海町酪農後継者を育てる会」から支援を受けながら教育活動を行っていた。しかし、定時制酪農科から全日制への再編により、これまで以上に実習教育の連携強化が必要であり、普通科においても、学校外での体験が必要であるとして、地域ぐるみの教育実践や、地域に信頼される学校づくりを検討した。このような中で、別海町長や別海町教育長への協力依頼が行われた。

出典:公立高等学校におけるコミュニティ・スクール導入の意図とその成果について(P51)-奈良県教育委員会

この高校では「地域のこどもは、地域で育む」をスローガンに幼・小・中学校と連携したり、花苗・野菜苗の即売会や、園芸講座を実施したり、その地域でしかできないことをやっているようです。

これも学校運営協議会ができ、大きく動き出した結果でもあります。

公立高校でコミュニティ・スクールを設置するメリット

最後に公立学校でコミュニティ・スクールを設置する利点って何なの?って話をしましょう。

主に4つのメリットがあると思います。

生徒が自分の通う高校の地域のことを理解しやすい

まずは高校に通う生徒が、その学校近辺の地域住民と接点を持ち、理解できるということです。

小中学校と違いがあるというとまず、生徒の通学範囲がめっちゃ広範囲だってことです。高校生は基本、地域外からの生徒っていう感じの捉え方も多くしています。

生徒・保護者が高校の周りのエリアとは縁もゆかりもない場所になっている可能性がある。

コミュニティ・スクールをやろう!って高校が掲げることで高校に通っている生徒自身も「こういう人いるんだ!」、「 こんな人が地域にいるんだ」ってだんだん感じられるようになっていきます。

ソルティー

何もしないと知られないし、連携は進まないですよね〜。

高校が地域との連携を図りやすくなる

高校が地域との連携を図りやすくなるのも利点です。

元々、高校は地域との交流が少なくなっている側面があります。地域側からも「高校と連携しにくいね」って話になったり、そもそも連携できると思っていないことがあります。

従来の地域連携は個別の教員、個別の関係者による連携が行われがちででしたが、それはもう古い。

ソルティー

その人たちだけだと、高校全体としての取り組みに発展しにくいんです。

そこで登場するのがコミュニティ・スクール。

組織的な活動があり、地域の声をちゃんと聞き、議論をして、意味と意図を作って、意思が生まれるからこそ話が進む。

意思が生まれれば、地域の協力が得やすくなっていき、地域の喜ぶ声が反映されてるので生徒の学習や、地域のためにもなるのです。

生徒の市民性・社会性を育みやすい

コミュニティ・スクールがもし活性化していれば、生徒自身が主体的に地域と関わる機会が増え、市民生や、社会性が生まれやすくなります

高校においてコミュニティ・スクールが浸透してこなかった理由は高校と地域が制度上繋がりにくいってことです。

生徒が通ってくるエリアが広いので、全部はカバーしきれないし、分からないからやらない!ってなりがちなんですが、エリアは高校の周りと絞って、「だからこそコミュニティ・スクールをやりましょう!」って言えると思います。

地域との繋がりが増えれば、生徒自身が関わる機会が増え、さまざまな価値観と触れ合い、生徒の社会性が大きく育まれていきます。


学校が協力者、補助金・助成金を得やすい

コミュニティ・スクールを設置すると大義名分が成り立つので、協力者・お金の補助を得やすいと思います。

何かやるときに何かの仕組みを利用するってのは、もう出来上がってるし、みんな乗って来やすくなります。

コンセプトなどがしっかり決まっていれば「やりませんか?」というだけで「協力すればいいんだ」って分かってもらえる人が多くなります。これが一番のメリットで、人が集まれば大きなことを成し遂げることができるようになっていきます。

さらにコミュニティ・スクールの場合、設置にさまざまな人を派遣できたり、助成金なども用意されていたりするので活用できる点もメリットとなるでしょう。

  • コミュニティ・スクールのメリット
    学校、地域がコミュニティ・スクールを設置するメリットをそれぞれの視点から書いています。もっと詳しく知りたい場合はぜひ読んでください。

高校がコミュニティ・スクールを設置する理由は理念にある

それでは高校がコミュニティ・スクールを行うことについてまとめていきましょう。

コミュニティ・スクールを高校で行うポイント
  • 基本的に小中学校と同じように設置できる
  • 高校を起点に地域が活性化する可能性が大きい
  • 生徒が地域のことを理解するキッカケになる
  • コミュニティ・スクールがあると地域が参画しやすい
  • 生徒の社会性を育みやすい
  • 学校が助成金を得やすい

忘れないでおきたいのは、コミュニティ・スクールが高校としてどうなって行きたいんですか?っていう側面を忘れないこと。

その中に少しでも「地域とのつながりをもっと強化したい」って入っていたら、コミュニティ・スクールはとても高校にとってめちゃくちゃ役に立つものになると思います。

もちろん、大変なことも高校の場合はたくさんあるんですが、やってみなくてはわからないことも多いし、困難を共に乗り越えるからこそ、地域と一体感を持てるようにもなるはずです。

学校運営協議会の設置や、その後、地域が一丸となるにはコミュニティ・スクールとコミュニティについて深く理解する必要があります。気になったらコミュニティ・スクールの完全ガイドマニュアルをご覧ください!