クラス会議の注意点とメリット

最初は上手くいかない

ソルティー
ソルティー

なるほどね、じゃクラス会議って1回で終わらないと思うんですよ。

たいち先生

うん、もちろん。

ソルティー
ソルティー

議題箱があって、どんどん投票が増えてあれやろうねみたいな感じで、何回も繰り返していくと、クラス全体としてどういうメリットが起こってくるんですかね?

たいち先生

メリットか、まず最初は上手くいかないんですよね
やっぱりそんないきなり話し合おうって言って丸くなってやったところで子供達やったことがないので全然上手くいかないです。

なので、最初の5回くらいは例えば担任の先生がファシリテーターとして司会もやるし、黒板も書いてとかいろいろやってくんですけど、だいたい5回くらいやっていくと皆が見えてきます。

そしたら皆に権限を移譲して司会をやってとか、黒板書記やってみたいなふうにどんどんやってってもらうんです。

ソルティー
ソルティー

ほー。他にもクラス会議を続けていくとこんなメリットが生まれるみたいなのってありますか?

たいち先生

一番ビックリしたのは場面緘黙の子いたんですけど、僕のクラスには家だとペラペラ喋れる。
でも、教室の中で喋れない子がいたんです。
クラス会議も毎週毎週やっていくことで、最初にハッピーサンキューナイスっていうプログラムがあって、何か嬉しかったことを皆で共有しようみたいなのがあるんですよね。
皆が雰囲気を良くするためにやるんですけど、そのときに場面緘黙の女の子が最初の文字を喋れないので、ぬいぐるみが回ってきても黙って隣の人にぬいぐるみを渡してっていう意思表示をしてました。

だったら全然OKで意思表示ができてるじゃないですか。

ソルティー
ソルティー

へー、言葉じゃなくて意思を尊重するんですね。

たいち先生

そう。

「回ってきたんだけど私は言えないから渡すよ」っていうことでずっとやってたんですけど、夏休み過ぎくらいから1回蚊の鳴く声でパスって言ってんですよ。
喋った!すげー!みたいな、で「何かパスって言った」とか言っちゃうとまた喋れなくなるから僕の中で心の中でガッツポーズして、しばらくそのままパスパスパスみたいな感じになってました。

それで数回したら普通の声でパスっていってパスし始めて、冬休み明けぐらいから嬉しかったことを皆の前で言えるようになったんです

ソルティー
ソルティー

たった一言だけど大きな一歩ですね。

たいち先生

僕なりにはいろいろクラス会議以外にも仕掛けというか、「授業の中で話せるようにするにはどうしたらいいか」とか「あらかじめ問題教えといてね、こう答えを渡しといてこれを皆に言おうね」みたいな手立てを打ってたんですけど全然ダメだったんです。

クラス会議をずっとやってくことで、それができるようになったっていうのはすげーと思ったのがまず1個かな。

場面緘黙の子が喋れるようになったみたいな。

ソルティー
ソルティー

小さな変化のキッカケを促すんですね。それは何回もやっているからわかる変化ですね。

たいち先生

あとはこの本にも書いたんですけど、不登校になっちゃった子がいて、給食が食べれなくて行けませんみたいな子がいたんです。

その子も何回か僕がアプローチして手紙を書いたりとかいろいろしたんだけど、全然上手くいかなかったんです。

クラス会議を2回やったおかげで、1回目はその子が休んでる時に皆で「Aちゃんがどうしたら来れるかな?」みたいな話合いをして、そしたら給食が嫌だって言ってることを皆知ってたので「給食は別に食べなくてもいいよ」とか「お弁当にしようよ」とか「保健室で食べようよ」みたいな解決策が出てそれを黒板に書いていったんです。

それを僕が写真を撮って、Aちゃんに渡して「皆こんなふうに話し合ってくれたんだよ」って言って渡したんです。

そしたら翌週クラス会議の時間だけひょこっと来てくれて、しかも「皆に相談したい」って急に言ってくれたんです。

ソルティー
ソルティー

おー、本当にしたいことを相談しに来るってのはすごいですね。

たいち先生

来れなくて嫌だってことを相談したいって言ってくれて、皆で話し合いをしてそしたら次の日から普通に来てですね。
朝から給食も何事もなかったかのように普通に食べて、今も来れてるんですよ。

別に学校に来れないのが良い悪いじゃなくて、困ってたAちゃんがクラス会議を2回経ることによって、普通に学校に来れたっていうその事実が僕はめちゃくちゃ嬉しかったんです

その瞬間に僕は「このクラス会議をいろんな人に伝える役目があるんだな」ってスイッチがボーンで入ったんですよね。
伝えなきゃいけないみたいなっていう出来事がちょうど2年前に担任した子がそんなことがあって、今こうやっていろいろ発信をしたりしてるって感じです。

いい意味で先生が楽になる

ソルティー
ソルティー

いろいろメッセージも来てますよ。
「クラス会議丸になって座るぬいぐるみを回して1人1票もってる感覚で参加を促している」「個人的な悩みもOK」
「悩んでいるのは自分だけじゃない共感の感覚を味わい、多角的な視点を」
「うちのクラス、中3はこのクラス会議のおかげてわきあいあいとしています。」

だって。

たいち先生

そうそう。

ソルティー
ソルティー

自律的に合意形成に持っていけるようになるんですね
ソルティーさんとたいち先生、素敵な2人、僕のクラスもクラス会議のおかげで子供達がいろいろ取り組めるようになってきました。

たいち先生

本当に先生が楽になるんですよね
そして、究極任せておけばいいですもん。

問題起こっても「じゃー、皆で話し合う」っていって話し合うってなって「じゃーやりなー」って言える。

だから今まで自分1人で出てって忙しい忙しいってやってたのが、全部丸投げして、じゃー話し合っといてみたいな感じでなんか出来るって究極だなーと思います。

ソルティー
ソルティー

だって、困ってるのは先生じゃないですもんね。

たいち先生

そうなんですよ。

ソルティー
ソルティー

困ってるのはその人だから、その人の本当のチャンスじゃないですか。
それを奪っちゃうと逆にいうと成長できないですよね。

たいち先生

クラス会議をやる前までは、例えばトラブルが起こったら溜息しか出なかったんですよ。
「はぁ、また問題か」
「どう解決していこう」
「帰りまでに解決していかないと保護者からまた何か言われるんじゃないか」
みたいな、すごい溜息が出てたんです。

それがクラス会議が自分の中ではチャンスだし、別に自分が解決しなくても子供達が解決してくれたりとか

別に帰りまでに解決できなくても「今こうゆうふうな状況なんですよ」のを分かってさえすれば、保護者も闇雲に怒ってくるわけじゃないのでそれはちゃんと伝えます。

「今、皆で解決してるところですので」ってちゃんと伝えさえすれば、別に「あーそうだったんですね」みたいになるんです。
保護者からもめちゃめちゃ好評で、やっぱりそういうことが嬉しいでしょうね。

ソルティー
ソルティー

保護者が不安なのって「これどうなってるの?」っていうただの質問なんですよね。それが答えられないから怒りに変わるみたいな。

たいち先生

子供達も「今日こんなことがあって」などを事細かに伝えてくれるから、「そういうのをやってくれる先生なんだ」みたいにしてすごいプラスのフィードバックもらえます。

別に何にもやってないですよ。
クラス会議やってるだけなんで、僕が何かものすごい授業してるとかじゃなくて、ただ週に1回話し合う時間をとって皆でこう話し合いをしているってことだけをやっているだけなんです。
でも、保護者からもめちゃくちゃ好評だったと思ってます。こんなに良いことはない。
そして早く帰れるようになりますし。

ソルティー
ソルティー

先生にとってもプラスですね。

たいち先生

本当にそうなんですよ。
不登校の話だと、クラスに不登校の子が出るといろいろケアをしたりとか、電話をかけたりとかすごくいろんなことがあるんですよね。

だけど、クラス会議によってひょこっと来れるようになったのは、保護者からもめちゃくちゃ感謝されるし、「うちの子あんなに悩んでたのに今は良い顔して学校行ってます」って言われて、そこもすごいプラスだとか。

良いことしかないですよね。「なんでやらないんだろう?」って僕は本当に不思議なぐらい。
絶対やったほうがいい。苦しんでる先生ほどやった方がいいってすごく思います

クラス会議はどのように進める?

いきなりやらず徐々にならしていく

ソルティー
ソルティー

クラス会議、めっちゃいいなって感じだと思うんですけど、クラス会議のやり方とか進め方ってどうやったらいいのっていうのがありますよね。
まだクラス会議をやったことない人は、どうやって進めたらいいかもチンプンカンプンだと思うんですよ。

たいち先生

うんうん。

ソルティー
ソルティー

どう進めれば、クラス会議って成り立つのかってお聞きしてもいいですか?

たいち先生

分かりました。
いきなりクラス会議やるよって子供に言っても、子供も何のことか分からんし、急に先生何言ってるんだろってなっちゃいます。

そこで、僕が絶対言う質問が1個あって、「その問題が起きたときに先生が解決するクラスがいいか、自分達が解決するクラスがいいか…どっちがいい?」って決定をまず子供にしてもらうんですよ。

そうするとだいたい「自分達で解決したい」って言ってくれるので、そしたら「あー、じゃそっか」とか「じゃーこうゆう方法があるんだけどやってみる?」って言うと、クラス会議につながっていきます。

そこですごく大事でやりたいと子供達が思ってないのに、勝手に先生がやる気になって「よし、やるぞ」みたいなふうに言ったって子供達は「えー、何この先生」みたいな、「いきなり言われてもよく分からないし…」みたいになっちゃいます。

そこでまず自分で決定をしてもらうことを大事にしています
そういうときに先生に決めてもらいたいってクラスはなかったんです。

ソルティー
ソルティー

それはそうでしょうね〜。自己決定が大事なんですね。

たいち先生

そう、自分達でやりたいっていうと思うんですよね。
そこから、「クラス会議ってこんなのあるよ」っていうのを紹介して、さっき言ったようにいきなりは全部いかないので最初は「ハッピーサンキューナイス」って言って、その1日にやった良いことを言うっていう時間をまずとります。

例えば、朝の会とかに毎日やっていくみたいなことでもすごい効果があるんですが、脳みそってネガティブに傾きがちらしいんですよね。
危険なことから命を守らなければいけないので、例えばコロナのニュースもみたら不安になるじゃないですか人って。
あれって本能的に危険から避けなければならない原始時代からの遺伝子をくみこまれてるらしいんです。

しょうがないことだと割り切って、意識的に楽しかったこと、嬉しかったことを思い出して、それを皆に共有することで脳みそがポジティブな方に傾くんですよね

ソルティー
ソルティー

ふんふん。

たいち先生
たいち先生

それを皆の話を1人づつ1人1回ずつこう言っていくんですけど、そうすることによってクラスの良い雰囲気がながれるし、クラス全体がポジティブな方に流れていくっていうのが、最初のプログラムになるんです。
まずそこからですね。

慣れてきたら今度は丸くなるみたいなことをやる。

ソルティー
ソルティー

最初って時間かかります?

たいち先生
たいち先生

丸くなると、最初何でこんな時間かかんのってくらい時間かかるんですよ。

丸くなってみようと言っても慣れてなかったりするので、「○○ちゃんの隣やだ」みたいに言い出して、めんどくせーなーと思ったりとか、「どうしてもこの男の子と座りたい」みたいなことを言い出しりします。

ごちゃごちゃ言い出したりとかしてトラブルになったりするので、それも言ったりとじゃー丸くなってみようねみたいなふうにやって、例えば最初15分掛かっていたらじゃ次8分でやるにはどうしたらいいかなみたいなことを話し合った上で、もう1回戻して、丸くなることだけをやるみたいな。

だからスモールステップですよね。

1個ずつの段階を踏ませてやっていくみたいなことがいいかなと思っていて、いきなり皆に悩み相談してみようっていっても皆もしたことがないのでなかなか出せないんですよね。

ソルティー
ソルティー

そっかそっか。最初は円を作るだけですでにチャレンジなんだ。

たいち先生

だから僕の場合だと、最初のうちは自分の悩みを相談したりとか

「先生さー、小5の娘がいるんだけど最近冷たくてさ、あっち行ってって言われるんだけどどうしたらいい?」みたいなことを言うとか。

「すごい悲しんだよ、昔あんなに可愛かったのに」みたいな話をして、そうすると子供達が何か嬉しいわけですよね。

自分とお父さんとの関係が重なってみたい。
お父さんとかありえないからダメだよあまりちゃちゃいれない方がいいよみたいなこと言ってくれたりとかします。

そういうことを皆でやって「ありがとう」とか「じゃーやってみるよ」みたいな感じで1回目2回目はそういう風に、自分の悩み、先生の悩みを喋ることでやってます。

ていう感じですかね。あとは詳しいやり方はこの本を読んでいただいてって感じで。

ソルティー
ソルティー

詰まってますよね、そこにね。

たいち先生

そうですね。

ソルティー
ソルティー

いろんな所を見たんですよ。webとか論文とかも見たんですけど、たいちさんの本これいいですよって紹介されまくりなんですよ。

たいち先生

ええー、まじっすか!逆に僕それ見たいな、すげー嬉しい。

ソルティー
ソルティー

なんかすごい。

たいち先生

でもどの本もすごく良いですけどね。赤坂先生の僕の師匠なんですが…。
諸富さんっていう方もいてその人が元祖なのかな、僕ちゃんと経緯が分かってないんですけど、諸富さんの本もすごく分かりやすいですね。

でも嬉しいですね、そうやって書いてくれるのは。

ソルティー
ソルティー

けっこう書かれてましたよ。

たいち先生

そうなんですね、じゃー、ちょっと調べてみます。

ソルティー
ソルティー

またメッセージきましたね。
若手の先生です。

「先生の悩みで練習するんですね。」だそうです。

たいち先生

そう。そうやって先生が自己開示していくと子供達もだんだん自己開示ができるようになります
最初のうちはやんちゃ君とか元気のいい子だったりとかが「じゃ相談してみるよ」とか言ってくれて、徐々に広がっていく感じですね。

ソルティー
ソルティー

なるほどね。

ちなみにみんながよく検索しているキーワードとかを僕、調べてたんですけど、『クラス会議指導案』って書いてあったんですよ。

たいち先生

あっそうなんですね。

ソルティー
ソルティー

クラス会議って指導案にあるんですか?

たいち先生

探せばあると思いますけど…、なんでも載せておくといいかもしれないですね。
でも、何でそれを調べてるのか分からないですけどね。

確かに指導案は研究授業をやるときには、何かゼロから作ると大変なので、いくつか指導案を検索して、その中から自分のやりたいものを作っていくってことかもしれないです。

ソルティー
ソルティー

テンプレ探してるのかもしれませんね。今はから読み取ってもらうのが早そうですね。

クラス会議の後が大事

ソルティー
ソルティー

じゃー、クラス会議って頻繁にやるってことが分かってきて、日常に溶けこむような感じになるんだってなんとなく分かったんですけど、このクラス会議ってクラス会議を行ってるときだけが大事ではないと思っています。

会議を行った後に何をするっていうのが意外と大事かなって僕は思うんですけど、クラス会議終わった後ってどんなことをするんですか?

たいち先生

例えば子供達が決めた解決策が絶対間違ってるよなみたいなことがあるわけなんですよね。

命に関わるようなことや人を傷つけたりするものは止めますけど、それ以外にそれをやっても上手くいかないときに、それは子供達の中ではあまり気づいてなかったりとかして、これでいこうみたいなふうになっているときがあります。

そのときはわざと1回失敗をさせるっていうのはすごく大事だと思っています。

そこで先生が出て「いや、それ間違ってるでしょ」とか「絶対上手くいかないから止めといた方がいいよ」みたいなこと言っちゃったら台無しじゃないですか。

せっかく話し合って子供達なりに頑張って決めてこれでいこうってなってるものを、なんか先生が出てきて、大人から見たらおかしいなと思うのは分かります。

でも、1回失敗させてあげることがすごく大事だと思っています。
「上手くいかなかったね」って翌週それを話し合えばいいだけで。

ソルティー
ソルティー

うんうん。

たいち先生

そしたらやっぱり子供達の中ではレベルアップされたりとか、子供達に信じる、任せるみたいなことをクラス会議の中だけじゃなくて、普段からやることもすごく大事かなと思っています。

ソルティー
ソルティー

なるほど、それ学校が失敗の場になるってすごくいいですよね。

体験ってなまじに何かあるけど、成功って自分が成功したなって感じるから成功体験なるわけですよね。
だからやらないと失敗したとか工夫したとかの成功に繋がらない。

たいち先生

やらされた成功は成功じゃないですから。

ソルティー
ソルティー

そうですね。それが大事なんですね。

たいち先生

あと行事とかも子供達に任せてみるとか。

今どうか分からないですけど学芸会とか僕ずっとやっていて、あれも大変だったんです。
台本考えて衣装作って音楽作って、監督して演出もしてとか大道具作ってとか先生1人だったらパンクしちゃうんです。

でも、クラス会議をずっとやってると子供たちが育ってくるので、「どこまで先生達がやればいい?」とか相談するんです。

「先生はここまでやって台本までを作ってほしい」とか「音楽はちょっと私達できないから音楽までを考えてっていって。あとは私達でやる」みたいに言ってくれます。

そうするともうしめたもんなんですよ。
「じゃーもう任せるよ」って。練習時間こんだけあるんだから何にも言わないからねってなってきます。

ソルティー
ソルティー

そりゃめっちゃすげぇ!

たいち先生

そうすると勝手にインタビューするみたいな子が現れて、しかも普段からそんなふうにしきったりとかファシリテーションができる子達が育ってくるので、4つくらいのグループになっています。

そこでそれぞれで練習をしてくれて、ここを先生1人でやっていたらと思うと大変なんですけど、これはそれぞれのミニリーダーみたいな子達がまとめてくれて、やってくれるとか本当にそんなことがいっぱいできるっていう。
だから任せるときは任せるみたいなことをどんどんしていくと、別に失敗してもいいんですそれも。
っていうくらいの気持ちでどんどんやっていけるといいな。
クラス会議の後にやることっていえばもう信じて任せるってことですかね。

クラス会議で気を付けること

ソルティー
ソルティー

なるほど。じゃ、さっきある程度答えが出ちゃったと思うんですけど、クラス会議をするときに教員として見守る姿勢だったり、失敗は大丈夫とかいろんな心構えがあると思います。

その教員の心構えってどうすればいいか、どんなことを気をつける、どんなことをポイントにして「ここは大事にしよう」とかあるのかを聞きたいです。

たいち先生

これは深い。
さっきも言ったんですけど、いきなり上手くはいかないんですよね。
やっぱり長期的視野に立つのが、大事だと思っています。

1年間見通した上で1年後には必ずできてるってふうに思うようにしていて、1回目2回目で結果を出すのは絶対できないって考える。

最初のうちは練習して取り組んでいくんだって思っています。

ソルティー
ソルティー

なるほどー。例えばどんな感じってのありますか?

たいち先生

去年、僕はブラジル人7割のクラスで担任していて、「さすがに今年はクラス会議無理か」と思ったんですよ。
毎日サンバカーニバルみたいに暴れまわっててグチャグチャになってて、「どうなってるんだここは?」みたいになってたんですよね。

やりたかったからクラス会議を週に1回やってたんですけど、もうひどいもんなんですよ。
本当にもう椅子が飛んでくるんじゃないかぐらいの感じでケンカは始まる、ポルトガル語で言い合いが始まるみたいなのが続いていました。
「うわーさすがに今年はやめようかなー」と思ったんですけど、「悔しかったんでいいや」と思って。

さっき偉そうに「失敗は大事です」みたいなことを言いながら、でも傷つくわけですよ。
ケンカが始まってしまうと、1年間絶対やってやろうと思って…、これはもう意地ですね。

ソルティー
ソルティー

ははは。

たいち先生

ずっとやっていたら2月頃かな。

休校になるちょっと前にフィリピンから1週間前にきた男の子がいて、その子が「日本語を喋れない」みたいなことをこっそり言ったことをテーマにして、

皆が「その男の子が日本語分からなくて困ってるけどどうしたらいい?」みたいなことを話し合いをしていました。

涙が出そうになってその瞬間に、「いやー続けてきて良かった」みたいに思いました。
そのブラジル人の子たちも同じ苦労をしてきてるんですよね。

日本に来たばっかりの頃は日本語分かんなかったし、今も日本語はちょっと分からないけどその中でいろんな解決策を皆が言ってくれました。

「こうやって勉強してるよ」とか「こういうふうにやってるよ」みたいなこともずっと言ってくれて、その男の子も「ありがとう」って言えたときに、良かったなと思って続けてきました。

本当にその瞬間、僕はめちゃめちゃ大変なクラスだったけど、最後の最後にそういうありがたいシーンを見れてすごく良かったと思ったんです。

それも一緒ですよね。
長期的視野にたって長い目で見るとか、その子達にとって必要な力がつけるようにっていうのがすごく大事かなと思いますね。

ソルティー
ソルティー

なるほどね。先生もクラスのチームの一員なんですね。

たいち先生

そうですね。でも去年はハゲるかと思いました。
本当にすごかったんですよ、サンバカーニバルのようで(笑)。

「からぼっかー」ってポルトガル語で一応普通の日本のポルトガルの子なので、日本語使いましょうみたいな感じなんですけど、ブラジル人が7割いるとポルトガル語ばっかり飛び交ってるんですよ。

全然分からないじゃないですか。

ソルティー
ソルティー

そうですね。

たいち先生

学校に通訳の先生が4人いてくれて、授業中抜け出しちゃうからなんですけど、小学校なのに副担の先生もいた。

ずっと「からぼっか、からぼっかって言ってんなー」と思ってたんです。

そんな状況の中でからぼっかって言われて、通訳の先生に「からぼっかってめっちゃ言ってくるんですけど、どういう意味ですか?」って聞いたら「バカって意味です」って。

めっちゃ俺に向かって「からぼっか」って言ってたみたいで、あいつら分かんねーからと思ってたんでしょうね。

そんな中でも一応クラス会議は成立しましたよっていう。

ソルティー
ソルティー

なるほど。あきらめないことですよね。

たいち先生

そうですね。

だから1回2回やって、上手くいかないとあきらめちゃう人多いんですよね。
「ケンカが起こってしまった」とか「話し合いが成立しなかったから止めます」とか、あと「時間がない」って言ってやらない人も多くて。

すごく思うんですけど時間がないからやらないんじゃなくて、やらないから時間がないんだっていう。

\クラス会議をタイミングや、議題はどうやって決める?/
次のページへ
1 2 3