普段一緒にティーチャーズアソシアで活動している仲間に、ソニー科学教育研究会茨城支部主催の勉強会にお誘いいただき、日曜日の午後に参加せてもらいました。

本格的な主体的・対話的で深い学びを理数教育で実現するために
~ハーバード琉 クリティカルシンキングとリフレクションの視点から~
福井大学大学院准教授小林和雄先生の話を聞いて

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この本の著者でもある小林和雄先生とは、未来の先生塾という対話をベースに教育界のアップデートを目指すオンラインサロンで、何度もお話をさせていただいており、その考え方やスキルは自分の授業観のベースになっています。

実際に私の職員室の机には、この本が必ず置いてあり授業に困って立ち止まった時はもちろんのこと、後輩から相談された時なんかは、真っ先にこの本を紹介しています。

今日はそんな小林先生が、今回の講演会のタイトルから生まれる、たくさんの先生方の質問に答えていくまさに対話形の講義形式で進んで行きました。

小林先生が目指す理想の教育は、まさに究極

知識があるからとか、経験があるからとかを一切抜きにして、小林先生が理想の授業として見えている世界を覗き込むと、誰でも、どんな教員でもそう感じることでしょう。

自分の授業を本気で良くしたいという覚悟がなければ、聞かない方がいいとも思えるくらいです笑。

自分の勉強不足が身に染みて感じます。

でも、その究極の頂を目指すのであれば、しっかりと自分の授業と見つめ合いながら向き合うべき至極の時間となります。

私自身も最初は、小林先生の話している授業像は、それこそこの本の中にも出てくるような雲の上の話だと感じていました。

しかし、何回も何回もお話しを聞くたびに少しずつ、その雲を突き抜けて上がっていく階段が見えてきている気がします。

今回の話の中で出てきたことも含めて、再度まとめていきます。

日本の理系教育について

日本の理系教育について考えたとき、PISAやTIMSSといった国際学力調査を多くの人が確認することでしょう。

これだけ、メディアで悪いように叩かれ、現場では疲弊しきっている教員が授業をしている日本の教育はさぞかし悪いのだろうと思って見ると、なんと日本は上位いるではありませんか。

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)結果の推移https://www.mext.go.jp/content/20201208-mxt_chousa02-100002206-2.pdf

世界的に見ても日本は、教育にかける予算も人材もとても少ないです。

その中で、これだけのランクを保てているのははなぜでしょうか。

さまざまな意見があるかと思いますが、1つに日本の理科教育(理科に限らないかもしれません)が、質問に対して答えがある1パターンのものしか扱わず、そしてそれを、わかりやすく伝達するという方式で教育が成り立ってきたからでしょう。

そしてそれらを伝える力が優れている教員が多かったのです。

しかし、これからの時代にそのような能力は必要なくなります。AIの到来により、答えのある質問は簡単に処理できるようになったからです。

分からないことは調べれば、すぐに答えが見つかります。

AIにできないこと”についてはここでは置いておいて、これからの必要な学習はまさに、その答えに辿り着くまでの過程が大切になります。

私が理科の教員を目指した理由

教員を目指す私が理科という科目の教員になったのは、純粋に科学が好きだったからです。

「空はなぜ青いのか?」、「なんで車は走るのか?」、「歩くのに筋肉がいるってどう言うことか?」など一見スルーされがちな疑問に大人になってもずっと頭の中で考えているのが楽しかったのです。

しかし、当然ながら全ての子がそうであるとは限りませんし、ほとんどの理科教育では、カリキュラムをこなすことや授業設計に時間を取られ、そんなことに構っているほど時間もありません。

しかも、その知識を完璧に持ち合わせた教員もいません。

それが、悪いことであると言っているわけではありません。

そう言った現状を理解して、では、どのようにすればそう言った純真無垢な青少年たちの学びの芽を摘まないで成長させることができるのかを考える必要があります。

日本は失敗しないように指導案の通り、授業をしようとします。

しかしそれは、工夫をすれば楽しい授業にはなるかも知れませんが、どんなに頑張っても、生徒が脳に汗水垂らし、達成感を感じるような学びを体現した授業にはなりません。

知りたいとか分かりたいと言う気持ちを子供たちの中に作り出すのです。

そしてその答えに至るまで、自分はどんな状態からどんな状態へと移行したのか、結果どうなったのか?そしてどうなるのか?何がわからなくなったのか?

そこに学びの真価があります。

私の目指す理想の授業

私の目指している授業は、生徒が「まだやりたい!」、「え⁉︎もう終わり?」と言ってしまうような、時間を無意識下に置いた集中できる空間を作り出す授業です。

今日の講演会を通して、その思いはより強固なものへとなりましたが、さらにそれを裏付ける凡例、そして理論すらも今日は手に入れました。

それらを4つの記事に分けて、お伝えしていきたいと思います。