どうも、ソルティーです。
コロナウイルスの影響で学校はかなり右往左往して、宿題を用意する?学びの保証はどうする?などさまざまな決断を迫られたと思います。
ドリル宿題を廃止した石川小学校にPCお届けついでにまたお話を伺う機会をいただけました。
コロナ前から実践していたドリル宿題はコロナ禍で、どのような影響を与えたのか?をレポートします。
ドリル宿題を廃止したことにより、コロナ禍でも慌てることはなかった
ドリル宿題を廃止したことによるコロナの影響はどうだったのか?は僕も気になるところでしたが、むしろコロナがキッカケとなり、学校側としてはさらに考えるキッカケとなった。
子供たち自身が学ぶという姿勢がすでに出来上がりつつあったので、休校になったからといって必要以上に宿題は出さず、学校ではその学びをサポートするようにしたとのこと。
学習の根幹は自学自習と言われることもあります。
どちらが大切とは人の発達ステージや、学習ステージによって違うので決められないですが、『学んでるつもり』になっていないか?は重要な側面だなと感じます。
ドリル宿題を廃止したことにより、先生たちにも変化が生じた
ドリル宿題を廃止したことによって、子供たちだけでなく、先生たちにも心境の変化が表れたと豊田先生は言います。
一体どのような変化があったのでしょうか?
子供のやりたいことを伸ばそうという先生も増えた
子供のやりたいことをやらせる。これは非常に難しい側面で、児童・生徒が気付いていないことを強制的に気付かせていくということをやってきたのが今までのタイプ。
今は大人から過度に干渉するのではなく児童・生徒が気付くまで待つというスタイルに変わってきたようです。
もちろん、促しはするでしょうし、たくさんの失敗もすると思います。でも、そういった中で真の学びがある。それを大切に…とは思うのですが、実際にやってみるとそんなにカンタンではありません。
それができているのが石川小学校の凄さだと感じます。
自学自習をいっぱいやっているから夏休みは通常通りの休みにしていこう
メリハリとも言いますが、働かせすぎると効率はかえって落ちてしまうという考え方を持っていました。
自学自習を始めた結果、子供たちは進んで勉強をするようになっています。必ずしも学力向上に繋がるわけではないんですが、自らどんな内容にしようか試行錯誤しながらまとめるようになっていました。
もちろん、それはコロナウイルスでの自粛ムードが漂った中でも変わりません。
夏休みくらいは「しっかりと休ませたいよね」という先生たちの意向もあったようで、それは校長も同じでした。
時数を追うのは間違い。学びに繋がったか?を重視しよう
多くのところで問題になっている「時数を稼がなればならない」という学校の考え。
それも間違いではないとは思いますが、重要なのは子供たちに果たして意味のある学びに繋がったのかどうか?が重要です。
時数が足りないのなら、逆にどこを削り、どこを重視していくのか?という軽重の考えを持ち、学校ごとのグランドデザインに合わせて、どんな子供になることを期待するのか?という観点から選択するのが大切でしょう。
ドリル宿題を廃止したことによりコロナ禍で子供たちにもたらされた結果
ドリル宿題を廃止したことによって、コロナ禍であっても目に見える効果が表れたと言います。
大きく変わったのは以下の3点です。
不登校が減った
コロナ禍になってから多くの学校では「学校に行きたくない」という子供や、授業の最中に暴れだしたり、泣き出したりする子が増えたという話しをよく聞きます。
学校が再開されたら、最初の1週間は、調整期間として無理をさせない。しかし、2週目からは逆にしんどくても、生活を通常に立て直しましょう。それも4月時点に戻るのではなく、例年通りの連休明け、5月中旬と考え、季節に合わせて動く。事態収拾後はできる限り早めに通常環境を取り戻すことが、危機管理の鉄則です。
夜ふかしするなど身体のリズムが崩れていたり、今までお家で過ごしていたのに急に刺激の多い学校生活に戻ったりするなど、急激な環境変化により子供自身のストレスが増加したとも考えられています。
しかし、自学自習に目覚めた子たちはリズムがそれほど崩れることなく、学校での学びがある程度継続できていたこと。そして、学校自体が安心・安全の場であると認識できていたからこそ不登校が減ったのかと考えられます。
“深い学び”が増えた
自学自習を行っている学校は多いと思いますが、国語・算数・理科・社会・英語など教科という枠に当てはめている学校は多いと思います。
石川小学校では教科の限定をすることはありません。むしろ形ですら問いません。ノートに書かなくてもOKなのです。
自分自身が真に興味のあることに向かうためには、教科の枠を一旦外す必要があるのです。(他のノートは石川小学校のみんなの自学から閲覧できます)
大事なのは子供の頑張りを認めること、そして褒めること。そのようにするとだんだん自己実現が進むようになります。
オンライン化がスムーズに行えた
石川小学校のIT環境はそれほど恵まれているという環境ではありません。
そんな中でも動いたのは先生たちでした。
「子供たちの学びのサポートをしよう!」とできる範囲でオンライン朝の会を開いたり、ホームページに自宅学習のためのページを作ったり。
多くの学校は強制的に見せるということをしたとも聞いていますが、自宅学習のためのページを見ることは強制ではありません。
「あなたの学習に必要であるなら参考にしてね」という、まるで図書室のような考え方だったからこそ、多くの子供たちが逆に参考にしたのかなとも考えています。
コロナ禍のような不測の事態の対処で重要なこと
コロナ禍のような予想もできないような不測の事態はこれからも起こらないとは限りません。
そのような中で校長の考え方で重要だと思われる点を豊田先生は話してくれました。
校長が先に手本になる
先生たちも何かやりたいけど何をどうしたら良いのか…と悩んでいることは多くあります。
そんな中で手腕を問われるのが校長の姿なのでしょう。
先生たちみんなが、「この状況をどう打開していくのか?」ということを校長の姿を通してみています。そんな中だからこそ、自分が先に動いて、手本を見せる。
そうすることで「私もやろう」「やりたい」という気持ちを芽生えさせる。
上に立つものは困難な事態が起こった時こそリーダーシップを問われるのだとお話を聞いて強く感じました。
子供たちのためにという考えを行動で見せる
この宿題廃止、今でこそメディアに取り上げられたり、取材の申し込みがありましたが、当初はやはり保護者の反発も少なからずあったようです。
しかし、校長はそんな時こそ変えるという強い決意を持ち、一つ一つに丁寧に説明をするということを繰り返したと言います。
その頑張りや、姿勢を見て「本気なんだな」という決意を感じ、「子供たちを真剣に考えた行動なんだ」と伝わっていきます。
その行動を続けた結果、コロナ禍であったとしても地域が協力してくれたり、「家庭内でできることをやろう」という協力的な保護者も多かったのかなと感じています。
短い任期を何もないで終わらせない。それが子供たちのため
校長は通常は2年。長くて任期は3年と言われています。
一般的に様子見の1年目。
そして、何事もなく過ごしたいと考える2年目になるのが校長のルーティンでした。
後任の校長先生のことや、これまでの積み上げた歴史があるとなかなかルーティンを崩すことは難しいと感じますが、そこを崩していくスタイルにしないといけないと豊田先生は語ります。
校長先生が動いていく、変えていく。その立場にいることを自覚し、行動を起こすことが校長が果たす子供たちのためということがよく感じられました。
ドリル宿題廃止とコロナは子供にとても良い気付きを与えてくれた
コロナ禍だと学校にとって大変なことばかり起こっています。
しかし、その大変なことをネガティブなまま受け取ってしまうと「コロナのせいで何もできない」と気持ちが落ち込んでしまいます。
そこをポジティブに切り替え、「コロナだからこそできた!」にしていく気持ちを持つ。
豊田先生が蒔いた種は、子供たちの主体的な成長を促し、コロナで大きく花開いた…そんな気がしています。
何もできていないと感じている学校はもしかしたら多いかもしれません。
でも、始めるなら今。
今からどうするか?を考え、実践していく先生たちの主体的な働きこそが子供たちの成長を促していくんだと今回のお話で感じました。