コミュニティ・スクールって、まだまだ浸透していません。

実はコミュニティ・スクールの始まりは2004年から。すでに文部科学省によってスタートしてから15年以上経過しています。

しかし、それでもまだまだ設置に至っていないという、それぐらいコミュニティ・スクールの難しさ、公立学校の広がりってのは遅いわけです。

ただ、いよいよもってコミュニティ・スクールが全国で推進・注目されるようになってきました。

それは、「学校と地域が協働して今こそやっていこうじゃないか」っていう時にやってきたから。

コミュニティ・スクール、もしくは地域学校協働本部って言葉がちょっと気になってる人ってのは結構いらっしゃるんですね。

じゃあ、コミュニティスクールを設置しようと思った時に、この努力義務って何なの?っていうことが気になるんです。

今回は

  • コミュニティ・スクールの努力義務化ってそもそも何?
  • どこまでの範囲を実行するの?

っていうことについて、お話をして行こうと思います。

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コミュニティ・スクールの努力義務について

コミュニティスクールっていうのは「頑張って設置して行こうね」くらいしか言われないもので、「設置しなければならない」という、法的構成力が強制力があるわけではありません

しかし、自分たちで設置を促していく努力はしなければならないということになります。

努力義務とは

努力義務は「努力をしましょうね」くらいしか制限がないものです。

努力義務ってそもそも法律の条文で書いてあるんですが、これは「するように努めなければならない」って規定された義務のことです。

  • 置くか置かないかは、その人の頑張り次第
  • 努力義務ってのは強制力があるわけじゃない
  • 当事者が主体的に自発的に、これやろうか!っていう風に促していく

簡単にまとめると、このようなものを努力義務って言います。

反対が義務規定って言います。

こちらは「しなければならない」とか、「してはならない」っていうくらい強制力が強いです。なので、義務規定は必ずやらなきゃいけない仕組みなのです。

いつから努力義務になったのか?

最初は努力義務ではありませんでした。

しかし、あまりにもコミュニティ・スクールが注目されなかったのか、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が平成29年3月に一部改正され、努力義務化されました。

第四節 学校運営協議会

第四十七条の五 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校ごとに、当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならない。ただし、二以上の学校の運営に関し相互に密接な連携を図る必要がある場合として文部科学省令で定める場合には、二以上の学校について一の学校運営協議会を置くことができる。

出典:地方教育行政の組織及び運営に関する法律

努力義務を破ったらどうなる?

協力する人形たち

努力義務を怠ったらどうなるのか?というと、実はまったくリスクはなく、罰則もありません。ただし、責任は発生します。

どういうことかというと、努力義務とは正反対の行為を行おうとした時に指導を受ける可能性はあります。

一生懸命、地域から「一緒にやりましょうよ!」って言われて、「私達はやりませんよ」とは言えないということと、地域活動を故意に邪魔したり、損害を被ったって場合は指導を受けたり、賠償請求とかが行われたりします。

簡単に言うと、コミュニティ・スクールに関して地域住民の参画を拒絶・断絶したり、「地域に開かず、ガラパゴス化しよう!」みたいなことをすると指導や、警告が入るでしょう。

ソルティー
ソルティー

「学校をガラパゴス化しよう」って言い始めたら「ちょっと待てよ」ってなりますよね(笑)

コミュニティ・スクールの努力義務の壁

コミュニティ・スクールを強制的に行わないことはしょうがないかなって思う反面、なかなか進んでいきません。なぜコミュニティ・スクールがなかなか進まないのか?ついて書いていきます。

努力は人によって捉え方が違う

努力って人によって捉え方が違って、外部からは正しい評価を下せないからこそ広まりにくいとも感じています。

個々の努力義務規定の本当の難しいところって、努力ってわかんないんです。

他人から見て努力してるかどうかって、見て分かる人はよほど近くで寄り添って見てあげないとできないほど難しいことだなって思います。

例えば

「一生懸命やりました。とにかく自分ができる限り、考えられる限り一生懸命やったんです。」

っていうことを言ったとして…、その人からしてみたら相当な努力だとしても、周りから見ると努力だとは言えないっていう風に思えちゃうことあるんです。

つまり、努力って努力したかどうかって他人から非常に分かりにくくて、捉え方が変わってしまう曖昧なものなんだなって感じます。

自由な分、周りから評価しにくい

本を読みまくったことだけでは努力とは周りから言いにくいよね

努力義務はある程度の自由が許されています。ただ、数値化できない、具体化できないって難点があると思っています。

努力義務規定って法的拘束力がないので、このような行為、このような行動、このような活動を行わなければ努力しているとは評価されませんってルールや、順序が決められていないんですね。

だから評価する項目自体がないという形になります。こうなると、どこが努力なのかってのは分からないんですね。

例えば…

学校に行けない子がいたとして、その子はちょっと発達が入ってますという子どもだったとします。

1週間に1度行って、学校で1時間授業を受けただけでヘトヘトになってしまう。だから週に1回・1時間だけ頑張って行きます。それは彼にとっては努力なんですね。

でも、周りから見れば週5で行って、学習を6時間受けてるのが普通。そうした時にその彼の行動は、周りから見ると努力と思えないのです。

しかも、努力評価の難しいところは数値化や、具体化が非常に難しいってことなんです。

「学校のつながりを数値化しましょう」って言っても、スグにできない項目だってことは容易に想像できると思います。

なので、これを努力したか・努力してないかって本人たちしか分からないというところがあると思います。

コミュニティ・スクールの努力義務を乗り越えるには

簡単に乗り越えられない『成果につながる努力』という壁。どうやって乗り越えるかというと、3つの点を大事にしたいなって思っています。

行動した結果から見直しをしていく

まずは自分ごとに捉えて、共に考えて創っていく意識を持つことかなって思います。

努力義務って「頑張ってるんです」ということは理解できるんです。今のPTAとか、保護者との連携を強化しましょうっていうのは分かります。

でも、大事にしたいところは経過だけじゃなくて、行動した結果や、状況を見ていくこと

その結果のままで満足しているという点が良くないとも感じます。結果を伴った努力にするために、常に見直して主体的に行っていく意識を持つことがまずは大切。

ソルティー
ソルティー

コミュニティ・スクールは「やってます」だけじゃ足らないんです。目的を作ったら数値ベースの目標を作るのも大事。そのほうが予算も立てやすい。

協力者と共に考えて創っていくこと

コミュニティ・スクールは協力者と共に考えて創っていくことも大事だなと思います。

その上でコミュニティ・スクールの努力した基準というか目安って言うならば、繋がった先がどのくらい増えたか?を目安にしてもいいかなって思います。

繋がった先や、保護者の意見を聞いた後に

  • 「じゃあ、自分達はどういう地域を作りたい?」
  • 「どういう子供を育てたい?」
  • 「自分たちはどんな協力ができる?」

っていう風に一緒に考えるっていうところまで行けたら、もう大大大成功だと僕は思っています。

もちろん簡単ではないです。でも、まずはできるかできないかではなくて、考えるか考えないかだと思ったりします。(教職員の任用もできるので、なるべく協力的な人を残したいです)

そこを一緒に考えましょう、一緒にやりましょう、その場を用意しましたよって言ったら相当努力してるなと思います。

実行した先を見据える

ゴールをみんなで達成する

コミュニティ・スクールに限った話ではないですが、実行した先を見据えていくのが大切かなって思います。

努力って本当に難しい言葉なんですけど、どこを目指した努力なのか…?ってことはとても大切だなと。

  • 会長と仲良くしました
  • 一緒に何か企画しました
  • PTAとお話ししました
  • 地域の方を校長室に呼んで話しました
  • 地域の人に評価をお願いしました

だけだとただ行動しただけになってしまいがち。もっと先の最終ゴールはどこか?を見据えて

  • どういう人を呼んだら理想に近くなるかな?
  • どんな子に育ってほしいかな?
  • 理解者を増やすためにはどうしたら良いかな?
  • 理想に近づいているのかな?

というゴールを視点に置いた活動をしていくことが大切。

この辺りはコミュニティ・スクールの本当に大事な根幹に迫ってるところなので、それは努力義務を十分に満たしてると僕は思います。

ただ単にボランティアを使えばいいってことじゃない

ボランティアさんが何を考え、どういう風にしたくて、どういう子供を育てたいからここに関わっているのか?ってちゃんと聞くっていうところがとても大事なポイントになると思います。

ソルティー
ソルティー

不可能か可能かで考えず、目的をもって諦めず進む!これこそがコミュニティ・スクールの本当の努力かなって思います。

コミュニティ・スクールはこれからどんどん増える可能性がある

それではまとめに入りましょう。

大事にしたいこと
避けたいこと
  • 努力したという結果は分かりにくいということ
  • 努力義務は自由だが、何もしなくて良いわけじゃないこと
  • 行動した結果を見て、悪かったら改善すること
  • 協力者とどんな学校を創りたいか?を決めること
  • どこを目指すかを共に創り、共有すること
  • 一緒にやりましょう!っていう声を拒んだり、真摯に対応しないこと
  • 「頑張ってやってますよ」という形だけ継続した形骸化すること
  • 結果が悪くても、何も対策しないこと
  • 協力者をただのボランティアとして扱うこと
  • どこを目指すかを一緒に決めず、共有もせず、守ってもいない理念を創ること

今、コミュニティスクールを設置したいっていう方も増えていると思います。

コミュニティ・スクールは今、令和元年のデータで言うと7,600件です。

ソルティー
ソルティー

1年前は5400校ぐらいだったので、1年間で2000校増えてる。今は大体10,000校くらいになってるかもしれませんね。

理想の学校を作ろうという活動も活発化しているので、これからどんどん増えると思います。やっぱり地域と学校が協力して何かをやっていこうって言った時に一番先に目が行くのは、このコミュニティ・スクール だからです。

もし、このコミュニティ・スクールに興味を持っている方がいたら努力義務っていうのがあるということを知り、どこからが努力なんだろうって考えることを忘れないで下さい。