授業時間外での休み時間、iPadを使ってYouTubeを前に映し出す生徒。

その生徒が映し出したのは、ニコニコ動画の中でも比較的卑猥なコンテンツに当たるもの。動画に流れてくるコメントには中学生男子が好きそうなワードが並んでいる。

当然、女子生徒含めて多くの生徒はいい気分はしないが、一部の男子はそんなことお構いなしに楽しんでしまう。

今日はそんな事例に対してどのように全体に対して指導するかを記事にしてみたい。

何を伝えたいか、、、

情報伝達

ひとえにメディアリテラシーと言っても、多くの要素が絡んできます。

事柄ごとに指導しなくてはいけない観点が変わってくるからです。

今回私が生徒に伝えたいと思うのは、

・世界では”データ”が価値になっていること
・性描写に関しては刑法に触れてしまうこと
・感じるままに行動は大切だが欲望との付き合い方を考えること

です。

では、伝えるべき文章を整理していきます。

SNSについて

画像2

この中で、SNSに自分の写真をアップロードしたことがある人はいるでしょうか?

その写真の中にどれだけの情報が隠されているのか、意識したことがありますか?

たった1枚の写真から、映った人物がどこに住んでいて、どのような家族構成で、どこの学校に通っていて、どのような交友関係があるのかを割り出すことは、今の時代簡単にできます。

一昔前、と言っても数年前ですが、”バカッター”という言葉が流行ったのを皆さんも覚えているのではないでしょうか?

あのような投稿からすぐに身元がばれるのは、優秀な警察の捜査力と同時に、いわゆるネット警察なるものが存在しているからです。

”3人寄れば文殊の知恵”といったことわざがあります。1人では特に何も分からない一般的な写真でも、複数のネット民が集まり、その気になれば、それだけ情報も集まり、いとも簡単に特定されてしまいます。

そして一生、その写真が消えることはありません。

「自分はそんな馬鹿なことはしていないから大丈夫。」と思っているかもしれませんが、何もバカなことしている人だけが、標的になるわけではありません。

誰でも、その対象に成りうるのです。

大人ですら、どこまでが良いのかの判断基準があいまいな人が多いので、子どもの皆さんがそこを理解しきれないのも当然のことです。

Webコンテンツの取り扱いについて

情報

ネットの普及により、多くのコンテンツがWeb上にあふれるようになりました。見たい動画をいつでも見ることができ、聞きたい音楽がいつでも聴ける。

しかしそれは、同時に犯罪の温床になっていることも無視できません。

性的コンテンツや違法アップロードなど、多くのものがあふれています。

数年前に管理者が逮捕され、閉鎖された”漫画村”というWebサイトは記憶に新しいのではないでしょうか?

さまざまな漫画のデータがアップロードされており、違法アップロードによる賠償金は数百億~数千億と呼ばれています。

では、これらのコンテンツを閲覧するのは犯罪でしょうか??

正解は”現状は白に近いグレー”です。というのも、現在法律で定められているのは、違法にアップロードされたものを、”ダウンロードした場合のみ”だからです。

しかし、非常にグレーです。というのも、この法律ができてからまだ10年ほどしかたっていないこと、閲覧をする際にもそのサイトによって、様々な視聴方法があるため、知らず知らずのうちにダウンロードして犯罪行為をしていることにもつながるのです。

また、広い意味でいえば、これらのサイトを評価するようなコメントをすれば、犯罪行為に加担しているとみなされ、刑罰に処されることもあります。

「閲覧だけでは問題に問われないのではないか?」と思う方もいるかもしれません。

閲覧は閲覧でも、その方法によっては大きな処罰を課されます。

その代表例が性的コンテンツです。

皆さんくらいの年齢であれば、異性のからだに興味がありまくりなのは当然百も承知です。ウイルスにかかりながらも、そんな動画や写真を必死に調べたり、している人がいることもいますね(笑)。

しかし、自分だけで楽しむならまだしも、それらを故意に表に出せば、公然わいせつ罪という罪に問われます。年齢は関係ありません。6か月以下の懲役、30万以下の罰金を処されます。

ではこの性犯罪は、どの程度がアウトなのか。

性的コンテンツを他人に送り付ける。アウトです。
性的コンテンツを公然で流す。アウトです。
性的コンテンツをダウンロードする。アウトです。

性的コンテンツの取り扱いに関しては、非常に事細かに取り締まられます。

むしろ日本の法律は、海外と比較すると甘いくらいです。

データは価値を創出する

探求

ここまでで、コンテンツの取り扱い方、そしてWeb上のデータが非常にあふれていることを理解してもらえたと思いますが、皆さんは、GAFAという言葉を聞いたことがありますか?

世界最大と言われている企業の頭文字をつなげたものです。考えてみてください。

これらの会社に共通しているのは、

・自社の製品が優れている
・高額高級な商品をそろえている
・サービスがとてつもなくいい

などといった、簡単に連想できる大企業の条件にあてはまりません。

むしろ、FacebookはSNSでお金の発生する場面は想像できないですし、Appleは製品が人気なだけで、決してサービスが優れているとは言えません。

ではなぜ、これらの会社が世界的に重要かつ大手の企業として名を連ねているのでしょうか?

これらの企業の力となっているのはその膨大なデータです。

数年前に比べて写真検索の精度が上がっているような気はしませんか?また、YouTubeを見ていると、おすすめの動画で普段自分が見ているような動画が流れてきませんか?

これらは全て、皆さんがアップロードしたり検索したりした履歴から判断されるAIの能力です。

皆さんが使っているClassroomやGoogleDriveなど、無料で使えることを疑問に思ったことありませんか?

これは、無料でツールを利用できる代わりに、データという目に見えない形のない価値を提供しているからです。

付き合い方を考える

AI 人間 握手

これらが悪いものと言っているわけではありません。

ただ、急速な進化により、これらの取り扱い方が全く持って整備しきれていないのです。むしろ、これからはそういう時代へと変化していきます。

そのため、私たちに必要なのはそれが正しいかどうかを判断する道徳心とそれを実行する判断力です。

確かに自分の思うがままに行動するのも大切ですが、皆さんの価値観はまだまだ、磨かれている最中なので正しい判断や考え方をできないときもあるかもしれません。

ですので、自分の欲望が先立っているときには一度立ち止まって、それが本当に正しいことなのかどうかを考えてみてください。

今回はある組で事件が起きました。

昼休みに数名の生徒が性的コンテンツと判断できるような動画を、食事中に流しました。

流した本人からすれば、性的コンテンツとも言えない幼稚なものだという実感があったかもしれません。しかし、それを見て不快に感じた者がいたのも事実です。

それは本当に必要なことだったのか、ただただ”楽しい”という自分の欲望が先だった行動だったのではないか。

今一度、今日この時間を考えるきっかけにしてもらえると嬉しいです。