みなさんは、教科書は必要だと思いますか?

この問いには先生だけでなく、保護者のみなさん、子どもたちにも答えてほしいと思います。
世界の教育に目を向けると、教科書の使い方はそれぞれ違っていて面白いです。

南米コロンビアでは、学校独自で教科書の代わりになるものを作り、それを使用して子どもたちに教えています。

ヨーロッパでは学校ごとに教科書を採択しています。個人用ではなく、レンタルとして使用しています。そのため、教科書を丁寧に扱う必要があり、家庭への持ち帰りもしていないそうです。

他にも追究していけばいろいろな国の状況があるかも知れませんね。

こちらの記事は教科書があるのが当たり前と感じている日本のみなさんのために記載しています。ぜひ最後までお付き合いください。

日本の教科書の役割

学校教育法第34条第1項において,「小学校においては,文部科学大臣の検定を経た教 科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない」と 定められている(中学校,高等学校,中等教育学校にも準用)1) 。

すなわち,小,中,高等学校,中等教育学校等においては,教科用図書を中心とした授業をすることが法律で義務づけられているのである。教科用図書の主なものは教科書である。

しかしながら,学校教育法第34条第4項において,「教科用図書及び第2項に規定する教材以外の教材で,有益適切なものは,これを使用することができる。」2)とも定められているために,教科書以外の教材を授業者が自由に使ってもよいとする誤解が生まれている。

重要な点は,「有益 適切な教材」であるかどうかであり,授業者は,十分な教材研究をして,有益適切な教材であるかどうかを慎重に判断して使うことが必要である。

また,ある単元において有益適切な教材があった場合でも,その教材が教科用図書の教材よりも本当に有益適切かどうかを慎重に判断することが必要である。

授業者の単なる思いつきで教科用図書以外の教材を使用すると,授業が混乱して児童・生徒にとって無駄な時間となってしまう可能性がある。

授業者は,まず,教科用図書を中心とした教材研究をしっかりと行い,教科用図書の教材 の意図をしっかりと理解することが重要である。

「この教科書の問題はよくない。」などと 安易に判断する授業者がいるが,教科書は専門家が何人も集まって編集されており,間違 いがあれば,その都度,修正されていて信頼できる教材であると言ってよい。

https://core.ac.uk/download/pdf/322570039.pdf

こちらの文章からみると教科書を使う理由は「有益適切な情報を提供するため」であるかと感じます。
多くの専門家がきちんと見ていて、間違いがない情報であるものを届けるために作られたものというのが日本の教科書の良いところですね。

海外の学校の教科書使用の実際

南米の学校

コロンビアでは、教科書はありません。

学校ごとに教科書の代わりの資料を用意しています。

授業は体験型が多く、体験をしてそこから学んだことを資料で学ぶ方法です。

その分、定着率がよくなるそうです。

アジアの学校

中国では、政府が作った動画コンテンツで学ぶそうです。

動画コンテンツの内容は全国一律(さすが社会主義)

ですが、授業の前半部分にしか使わず、後半部分は各学校の先生が工夫して授業を行うそうです。

また、ノートも使っていないという話も聞きました。

机の中にホワイトシートが入っており、授業中のメモに使いますが、終わったら全部消すとのこと。

記憶ではなく思考を重視しているんだという事が分かる事例でした。

欧米の学校

教科書はレンタルしています。

次の年で使用するために教科書をきれいに使っています。

そのため、書き込み禁止となっています。

事実確認

本当にそうなのか確認するためにオランダ在住の方にインタビューしてみました。

①上記の情報は正しいですか?

 実話です。

②すべての学校が同じ教科書使っていますか?

 学校ごとに対話してから教科書を採択します。検定教科書という文化もありません。

③日本の教科書システムについてどう思いますか?「教科書がなくてもいい」とは私は思わないです。
もちろん、学習指導要領に則していない内容のものを会社が作れば、それは「使えないもの」として淘汰される訳なので、「国の指針に沿ったいいもの」だけが競争の中で残れば良いのだと思います。

このテーマに沿って現役の先生方にインタビューして意見を聞いてみました。

アンケート結果

フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: ご自身について教えて下さい。。回答数: 19 件の回答。

フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: あなたはどっち?。回答数: 19 件の回答。

皆さんの意見

◎教科書を自作する時間と資金と情報を提供してもらえる機会は望めそうにないから。

◎授業の形や教員の教え方はさまざまなので、必要最低限の内容が入っている教科書が子供の手元にあることは必要だと思います。登校しない選択をする子供もいるかもしれないし。ただ、教科書は紙でなくても、デジタルでもよいし、むしろその方がいいと思っています。

◎国語だけは教科書がほしい

◎今の学校現場のように、教科書に囚われる必要はないと思いますが、「この内容を学べばいいよ」と基準になるツールとして、適材適所に使う意味では、教科書は便利だと思います。

教科書なく授業ができる教育者と社会への教育準備ができていない

◎授業を聞いているだけでは頭で理解出来ないので、必要かな。

◎新しい教科書もらった時って、新学期の時のワクワクもありますよね。

◎それぞれがバラバラに習うのではなく、同じ基準で習った方が良いと思う。ただし一人一冊は要らない。学校に置いたり、代々受け継ぐなどして、数年に一度の改正で資源を大切に、お金を無駄にしない方が良いと思う。

◎子どもたちがどんな力を身につけていくために学ぶのか、基準は必要だと思うからです。ただ、「教科書を」学ぶ、ではなく「教科書で」学ぶ。教科書を使いながら柔軟な学習形態を工夫し、子どもたちが楽しく学べること、なぜこの学びをしているのか分かるようにすることを忘れずに使っていきたいです。

◎教科書をベースにしないと、しっかり調べられる子が少ないから

◎教科書は重いし、自分で調べる力が育てないので、いらないと思います。

◎使う,使わないは別にして,「一本の軸」「選択肢の一つの参考として」

ちょっとずるいですが、、、

◎自分のしたいことをするための時間を捻出するためにあまり時間をかけたくないことを教科書に頼りたいです。。

◎日本の教育の良さはだれにでも平等に与えられていること、与えるべき義務が保護者にあること。一部の裕福な人だけが豊かな教育を受けられるということは、格差を広げてしまう。本当に学びたくても学ばない子どもたちは、地域の公立の学校にやって来る。その子どもたちの最後の砦は教科書。ちゃんと学べば大学に行ったり、自分がやりたいことをやれる道を見つけたりするチャンスだと思う。だから、教科書は必要だと思う。

◎個別最適な学びを求めるのであれば高学力の子には簡単な内容であるし、低学力の子には難しい内容である。

◎学年によって教科書を指定するのではなく学力によって必要な題材を選択していくことによって個別最適な学びになるのでは無いかと思う。

◎AIを使い、その子に応じた学びのプランのような形になれば一番いいと思う。

◎同じ言葉で話ができるようになる

◎海外も日本も、無しでやってる所がある。YOUTUBEで十分!

◎最低限の教育を保証する必要があるから。

◎基本的な教科書はいると思う。その上で色を出すべきだと思う。

◎デジタル教科書に1本化することで、大きなメリットがある。教科書と併用すると、デジタル教科書を使わない教師が出てくる危険性がある。

◎教科書がなければ、忘れ物の心配が無くなる。

◎ランドセルに教科書の代わりに夢と希望、ワクワク感を詰め込める!

あくまでも資料として。すでにカリキュラムが組まれているものであり、良質で考えられたものも多く含まれているものを手に取れば教えられるのは。すごくありがたいと思う。

◎そもそも教科書を授業の中でどのように使っているのか?私は高校地歴・公民担当ですが、教科書をベースにプリントを作成して、授業では資料集をよく見るという感じです。

著者の教科書の使用方法

【教材研究編】

年間計画を立てる際に使用

私は授業で一年間に実施する内容をGoogleサイトで作成しています。

この流れを決めるときに教科書を使用しました。

【授業編】

①小3から中3までの教科書と理科便覧等の参考書、図書室にある素敵な資料を理科室に並べる。

②実験や振り返りの際に必要な教科書を提示する。

上が私の教科書の使い方です。
対話の材料にしていただけたら嬉しいです。

最後に・・・

ここまで読んでくださった方の意見もぜひ教えてほしいと思いますので以下のリンクからお答えください。

教科書いる?いらない?あなたの意見を教えてほしいです!

https://forms.gle/2wdh2EbxdyAW2Kqq9

最後にぜひこのテーマで対話したいという方は10月17日(日)20時から対話会を開きますのでぜひご参加ください!