昼間に赤ちゃん抱っこして買い物するだけで褒められる世界

「お兄ちゃん、子守しながら買い物なんてえらいね〜」

平日の昼間に地元のスーパーで買い物していると、高い頻度でマダム達に声をかけてもらえます。

妻が同じ状況の時は、「赤ちゃんかわいいね〜。何ヶ月?」が多いそうです。

それだけ珍しいのでしょうか。

 私は、妻がいわゆる ”育児疲れ” でダメになりそうだった令和3年8月から半年間の育休を頂き、生後半年になる娘と2人で多くの時間を共にすることになりました。

妻はその間に職業訓練校に通うことになったので、私はワンオペ育児(片方の親のみが家にいて、育児をすること)に奮闘しました。

一人で家事・育児をしていると、なぜか多くの人から褒めてもらえました。

 この記事は、とある公立中学校の教員が”男性の育休”を体験して、新米パパ教員は絶対育休を取った方が良いと心の底から思い、まとめたものです。

記事を読んで育休を取得する男性教員が一人でも増えたら幸いです。

『男性の育休』認知はされてきた?

 男性でも育休をとることができる。

このことを知って、驚く新米パパは皆無といって良いほど常識として浸透しているのではないでしょうか。

しかし、実際に取得しているパパは、私の周りでは片手で数えられる程度です。

皆さんの周りでも同じくらいではないでしょうか。

 上のグラフは、厚生労働省が各年度ごとに男性の育休取得率を集計し、まとめたものです。

平成24年度からは、年々増加していることがわかります。

令和2年度には、令和元年度の7.48%から5%以上も数字を上げて12.65%になりました。

日本でも男性の約8人に1人は育休を取得しているそうです。

男性教員の取得率は少し下がって5.8%、約17人に1人(令和元年度)でした。

(※令和元年度の男性の育休取得率は7.48%で、約13人に1人)

ただ、沖縄は平均より2倍以上高かったり、九州では極端に低かったりと、地域ごとの差が激しそうでした。

地域文化の影響もありそうです。

なぜ?沖縄県、男性教職員の育休取得率が全国の2.6倍|沖縄タイムス

九州の男性教員、低い育休取得率「女性は100%、性別分業あらわ」|西日本新聞

 2021年6月に育児・介護休業法が改正されました。

2022年4月からは一層男性の育休は取り易くなるとともに、取得を求められそうです。

誰に求められるかって?

国と妻からではないでしょうか。

男性育休、2022年4月からの法改正のポイント 企業に必要な準備も解説 | ツギノジダイ

男性教員が育休を取るべき3つの理由

❶出産後の夫婦生活が円満になる

 家庭がぎすぎすしていること程、パワーが出ないことはないのではないでしょうか。

下に示す女性の愛情曲線をご覧ください。

結婚直後(妊娠直後の方がわかり易いかも)から出産直後まで妻は、お腹の赤ちゃんのことと自分の体調のことで精一杯になり、夫どころではなくなっていきます。

ここで当時の私をふり返ると、、、

12時間勤務後にクタクタで帰っても、妻の体調が悪ければ、買い物・料理・洗い物・寝かしつけまでもしました。

ひどい日は家事・育児全般がひと段落した後に、持ち帰ったテストの丸付けをしたり、レポートにコメントを入れたりもしました。

気絶するように寝た日々が懐かしいです。

愛情がどうとか言ってる場合ではありませんでした。

妻も同じような状態だったと思うので、グラフの通り愛情が薄れていくのも納得です。

出産直後から、夫への愛情(青の点線)が2パターンに分かれています。

妻からの愛情が回復する家庭もあれば、低迷する家庭もあります。

東レ経営研究所の渥美由喜氏によれば、子どもが巣立った後、女性の愛情が下降してそのまま「愛のない夫婦」になるか、愛情が徐々に回復して「愛のある夫婦」になるかは、出産直後から乳幼児期の夫のふるまいにかかっているそうです。

妻からの愛情が低迷する夫には、「イクジ(育児)ナシ夫」の烙印が押され、長い長い冷え切った家庭生活を送ることになるのです。

冷え切った家庭生活を送っているパパ教員が、子ども達にワクワクするような授業ができるでしょうか。

子ども達の小さな変化を見取り、悩みに親身になって耳を傾けることができるでしょうか。

私は難しかったです。

人に優しくされるから、人に優しくなれるのが人間です。

愛のある家庭をもつパパ教員が、学校の子ども達も愛することができるのではないでしょうか。

出産直後から乳幼児期、パパがどれだけ育児に時間とエネルギーを割けるかが鍵です。

激務をこなす日本の教員には、仕事と育児の両立はまだ難しいでしょう。

円満な夫婦生活を送るためにも、育休をとりましょう。

❷長期休みとは異なる、まとまった時間を取ることができる

子どもの頃と同じように、夏休みと冬休みがあるのは教員の最大の特権でしょう。

次の長期休みには、どこに行こうか・何しようかとワクワクしますよね。

育休は原則子どもが1歳までが休業可能期間なので、出産直後からであれば1年間も取れるわけです(※保育園に入れない等、仕方ない場合に限り2歳まで延長可)。

もちろん手のかかる子どもの面倒を見ながらなので、いろいろと制限されることはあります。

それでも24時間ずっと育児家事に追われるわけではありません。

隙間時間には、多忙な時にはできなかったことができます。

私もこの記事は、娘が寝ている時間や妻が散歩に連れて行っている時間を見計らって書いてます。

育休期間中にサブスクで見たかった映画を見まくっている人もいれば、積読を読み漁ったり、資格を取ったりと、多くの育休パパは時間を有意義に使っているようです。

私が朝7時に家を出て20時に帰っていた頃は、22時には眠くなったので、平日に子どもと関わることができるのは正味1時間でした。

帰ってからの約2時間で、シャワーを浴びて、晩飯を食べて、洗い物をして、娘と遊びました。

忙しい時期は、加えて持ち帰り仕事もやったので、やりたい事をやる時間はありません。

というより、何か新しいことしたいなんていう活力が湧くほどのエネルギーはありませんでした。

日本国憲法が約束してくれている健康で文化的な生活を営めていないことに、強いストレスを感じていました。

充分に心身を休めると、仕事のモチベーションが上がってくるのが人間です。

子どもとたくさん関わりながらやりたい事をやりまくるためにも、育休をとりましょう。

❸社会貢献できる

現在日本が抱える最も大きな社会課題は「少子化」です。

下のグラフは出生数、合計特殊出生率の推移を示しています。

グラフの中で最新である2019年の合計特殊出生率は1.36でした。

人口を維持することができる出生率は2.07(2018年時点)であり、この数値に達しない限り、人口は減り続けていくそうです。

政府は2025年までの目標として出生率1.8の実現を掲げていますが、思うように数字が上がっていかないのが現状です。

なぜ数字が増えないか。

ずばり、妻が2人目を産んで育てよう!と思えないからではないでしょうか。

(※もちろん欲しいけれどもできない方がいらっしゃることも承知していますが、これ以降の話では除外させて頂きます。悪しからず)

日本の夫の家事・育児時間は諸外国と比べて圧倒的に少ないです。

また、核家族化・地域のつながりの希薄化が拍車をかけ、妻に孤独な育児を強いているケースが少なくありません。

私も、育休を取る前は多分に漏れず、平日の家事・育児時間は1時間程度でした。

「2人目なんて絶対育てられない」と泣かれた夜もありました。

妻に大変な思いをさせてしまった事を反省すると共に、乗り越えてくれたことに感謝しています。

私が育休を取ってからは随分変わりました。

私の方が家事・育児時間は長くなり、妻にはやりたい事をやってもらっています。

2人目、3人目についての未来の話も増え、にぎやかな家庭を楽しみにするようにもなりました。

冒頭でも触れましたが、育児・介護休業法が改正されたので、2022年4月からは一層男性の育休は取り易くなります。

政府は、男性の育休の大切さに気付いたのです。

男性の育休取得率が上がれば、出生率が上がる可能性が高いからです。

下の図表を見れば明らかです。

国にとって子どもは未来そのものです。

2人目・3人目(もちろん4人目以降も)を育てることは、にぎやかな家庭の中で幸せを感じられるだけではなく、日本のための社会貢献にもなるのです。

育休を取りましょう。

現状維持は後退である

でもな〜、、、長い期間休むと他の先生に迷惑がかかるしな〜

と思っているあなたに朗報です。

あなた1人がいなくても、学校はまわります。

迷惑なんて、生きていれば誰かにかけるし、かけられるものです。

お互い様です。

育休から復帰したときに、成長したあなたが学校を盛り上げていけばいいのです。

“現状維持は後退である”

ウォルト・ディズニーが残した有名な言葉です。

現状維持で変わらないことは楽ですが、変わらないことには成長はありません。

育休を取りましょう。