大学生からのご質問をいただきました。
はじめまして。地域と学校の連携・協働に最近、興味がありまして、質問させていただきます。
コミュニティ・スクールを持続可能な取り組みとするために何が大事になると思われますか?
今、既存のコミュニティ・スクールの取り組みは「ずっと」続けることが難しいと思うものばかりです。それこそスーパーボランティアみたいな、すごい人がいてはじめて成り立つような仕組みではないのかと思うのです。
ぜひ意見を伺わせてください。よろしくお願いします。
という質問です。
たしかにサステナブルという言葉も流行り、ずっと続けていくということ、継続することの大切さを訴えるようになりました。
- サステナブルとは(クリックして詳細を見る)
では、コミュニティ・スクールの持続可能性について少し考えていきたいと思います。
地域学校協働は新しいムーブメントではない
そもそもなのですが、学校と地域の連携・協働という話は新しいムーブメントではないと思っています。
コミュニティ・スクールが盛り上がってきた!!なんて言っていることもあると思いますが、昔に公民館ができた辺りでも、地域と学校は連携して子供たちの学びに繋げていました。
つまり、今だけではなく、昔から地域学校協働は行われてきたもの…というそもそもを理解しておく必要があります。
真の持続可能性に目を向ける
この質問者さんの課題だなと思う点は、視点が『コミュニティ・スクールの存続』に囚われすぎているのではないかと思います。
もちろん、コミュニティ・スクールということを続けられたら良いなとは思います。しかし、本当に大切なことは、子供たちが育ち、主体的に地域社会に還元するような人材(つまりやりたいことをやって、人の役に立てる人材)になることではないかと思うのです。
僕は真の持続可能性は、その子がどんな地域に行っても生きていけるような存在になることではないかと。
コミュニティ・スクールはあくまでも手段であり、なくてもその状態は実現できます。
ただし、結局はいろんな立場の人の対話や、協働は必須かなと思います。あったほうがより分かりやすいし、建前もできるし、お金もつけやすいです。うまく利用すると良いかなと思います。
学力だけを育てても育った村を捨てる学力になってしまう
進学指導・就職指導など、今、学力の目的は就職することが目的になってしまっていることが多いです。
でも、そうやって学力だけを伸ばしていった結果、「この村では何もできない」と都会に憧れを抱くようになってしまって良いのかなと感じるのです。
結局、学校で学んだことは学校の中だけでしか役に立たないようでは意味がないと思っています。
最高の持続可能性は自ら生み出すこと
そうやって村を捨てる学力ではなく、自分の村を愛して、「自分でこの村で必要なものを創る!」と言える学力を育てて欲しいのです。
そのためには学校の指導で家庭や、地域に理解してもらうのと同時に、家庭や地域に飛び出していって、一緒に村づくりの一員になっていくことが大事だし、それが地域全体、ひいては国全体の持続可能性を高めるのではないかと思っています。
コミュニティ・スクールの持続可能性を高めるには?
では、そもそもの質問者さんの求めているコミュニティ・スクールの持続性にも目を向けていきますが、結局は大事なことは2つになるかと思います。
それが
- 地域づくりの担い手を創るという意識を高めること
- 経済を回していくこと
です。
地域づくりの担い手を創るとは
コミュニティ・スクールの背景では少子高齢化が大きなウェイトを占めています。これは次代を引き継ぐ人数が圧倒的に足りず、今までの生き方では、生活できなくなる…ということを危惧しているのです。
そうした時に、今考えられていることで一番大きい解決策が「生まれ育った町を捨てて、都市に一極集中する」ということです。
実際にこの施策はアメリカでとられている手法でもあり、日本でもその傾向が出てきているようです。
しかし、本当にその傾向に進んでいいのか?というと僕は疑問があります。便利だからと言えばそれまでですが、便利じゃなくても人は生きていけますし、便利を追求すればするほど、人間の幸福度は下がっていったりします。
結局、そうやって狭い都市に一極集中で集まった時、人間関係との摩擦が原因で大きなトラブルが起こることは簡単に想像できます。しかも、他に人がいないとなれば逃げ場もない。
本当に大事なのはさきほどから言っているとおり、「ないところから生み出す力」なのではないかと思うのです。
そうした教育が必要なのは子供だけではなく、大人にも必要です。むしろ、大人にこそ必要かもしれません。
コスパは良くないし、全員がその道に行かなくても良いかもしれませんが、大変で、面倒くさいからこそ、「生きている」と実感でき、幸せと充実感を得られる世界が良いと思うのです。
だからこそ、私たちにはもっと地域を知り、住みよい環境づくりに知恵を絞り、繋がりのある幸せを生み出すことが大事なのかなと。
経済を回していく大切さ
コミュニティ・スクールでは、予算がとてつもなく少ないです。特に重要だと言われる地域学校協働活動推進員の年間の報酬額が少なすぎて、生活ができないレベルです。
これでは、コミュニティ・スクールが活性化することは本当にスーパーボランティアに頼ることになってしまうでしょう。
だからこそ、自分たちで経済を回すために生み出す努力をすることが大切かと思います。
- 活動をしたらお金を得られるプロジェクトがあっても良い
- 無償ではなく、少なくても対価を払っても良い
- 助成金や、補助金でもちゃんと通るような事業展開を考えてみても良い
- 論文を書いて世の中のためになる情報を出しても良い
- ゴミ拾いなど環境美化をしながら、換金しても良い
などなど…、お金を得る手段はいくらでも考えつきます。
ここにこそ学びがあり、その姿を見て子供たちも学ぶし、そこに混ぜていくことが大切かと思います。
そして、地域社会の歯車の一部となっていくことがこれからのコミュニティ・スクールには求められる大切なところなんじゃないかなと思うのです。
取り留めもない話になってしまったかもしれませんが、何かしらお役に立てたなら幸いです。
より詳しく知りたい方はコミュニティ・スクールの作り方・進め方マニュアルをご覧ください。