職員室って言うと、明るくて、ほがらかで…そんな空気だったらどんなに良かったかって考えている先生も多いかもしれません。
すべての学校がそうだとは言いませんが、職員室カースト制度という暗黙のルールがあるように、職員室が落ち着かない場所だと感じている教職員も多い…。
たとえば職員会議で「何か意見ありますか?」に対して、「○○を〜」と言っちゃいけないタブーがあり、その言葉を言った瞬間に
「あ、あいつ言っちゃった…」
「大丈夫かな、どうなる?」
のように空気がピリ付く瞬間がたしかにあるのです。
普段、学校のクラスでドタバタしているのに職員室でも心がザワザワして落ち着かなかったら、そりゃまともな仕事なんてできません。
今回はこんな職員室だったら注意しましょう!という警鐘を鳴らすと共に、職員室の雰囲気をどうやったら変えられるのか?を小学校で職員室の働き方改革を進めている大野 大輔さんの監修の元、職員室の雰囲気を良い方向に変えるコツを伝授します!
良い職員室の雰囲気ってどんな感じなのか?
良い職員室とは一体どんな雰囲気なのか?っと一言で言うと『笑いや、活気があり、感謝を伝え合い、やりたいと思ったことを尊重してくれる場』なのかなと思います。
なぜそのように思ったのか?を詳しく解説していきます。
愚痴ではなく感謝を伝え合い、お互いの行動をよく見ている
学校ではよく「すみませんが〜」という枕詞を使って話します。
これは「申し訳ないと思っているんだけど、自分ではやれないからやってくださいねー」という半強制感の強いものです。
本当に大切なお願いだったら良いのですが、これが何度も続いていくと「なんで私ばっかりに?」みたいな愚痴を吐くようになり、悪い雰囲気になって、全体としての士気が下がります。
ここで大事なのはついやりたくなってしまう状態にするために感謝を使うということ。
その場合は、頼むだけではなく「○○やってくれてありがとう!」と行動に対して感謝を伝えることが非常に重要です。感謝を伝えるためには相手の行動をしっかり見て、足りないところを担ってくれていると自覚する必要があります。他人をどれだけ見れるようになるかが重要なポイントでしょう。
「誰かがやってくれる」ではなく、「私もやりたい」と言える場
良い職員室では「私もやりたい」「まぁ、やってみるか」というチャレンジが気軽に行われていると言います。
誰かがやってくれる、とりあえず他の人に振っていこうとする姿勢はチャレンジをすることがありません。もちろん、忙しいからということはあるのですが、それだけでは成長が生まれないのです。
ここで大事なのはビジョンの共有。
そもそもどんな世界を目指しているか?が浸透していると「どうやってこの学校をより良い環境にしていこう?」という空気が全体に循環します。そして、人が良くなり、学校が良くなり、子どもが良くなっていきます。
盛んな情報交換が行われ、笑い声や、お互いを尊重した議論が行われる
良い職員室は他人を尊重した議論が生まれたり、他人から生まれたアイディアをさらに膨らませていく力があります。
悪い職員室では良い研修があったとしても、ほとんどの人が「いやー、無理でしょ」とか「どうやってやるんだよ」という、そもそも最初からアレルギー反応のように受け取ってくれません。
研修は理想論も出てくると思います。でも、それをどうやって実現していくか?はその場にいる人たちが作ります。だからこそ、議論があるのです。
ここで大事なのはその人がどのフェーズにいるのか?を考えること。無知な状態なのか、分かってきた状態なのか、完全に理解した状態なのか、そこで声の掛け方が変わります。
うまい声掛けになれば笑い声や、お互いを尊重した情報交換が行われるようになり、次に繋がっていくのです。
実践を行う人を尊重し、自分は何ができるか?と協力体制がある
良い職員室は自分が何ができるか?という視点で考え、協力体制が組み上がります。
悪い職員室は改革派と保守派と分かれてしまい、対決姿勢になってしまいます。
改革派も保守派も実際は悪いことを考えているケースは少ない。お互い大事にしている視点が違うだけなのです。そこを一緒にして第3の意見を考えることが一番大事。
ここで大事なのは信じているビジョンの確認と、その登り方の確認。対決するのではなく、お互いの意見を聞き、「そういう視点もあるのか」と尊重しあって、WinWinの関係になるように新しい意見を作る。これこそが本当の働き方改革に繋がります。
職員室の雰囲気を良くするための第一歩目の実践
良い職員室は分かったけど、どうやって空気の悪い職員室から変えていくの?と思う方も多いでしょう。
そこで、第一歩目の実践として大野さんがやっていることをまとめてみました。
変えたい!って言うのではなく、「問い」を投げかける
まずは問いを投げかけましょう。
「毎週のテストってあるじゃないですか、あれって本当に必要なんですかね?」みたいなところから入る。求めるのは答えじゃなくて、関係性づくり。
問いを投げかけたら、必ず反応が返ってきます。その反応に対してまた問いを投げることで徐々にその事案の理解を深め、関係性を構築していくのです。
一気にじゃなくて少しずつ変えていくことが大事。
情報共有から入る
情報共有もどんどん行っていきましょう。
「○○さんのセミナー出たんですけど、こんなことやってるんですって」
「え、本当に?それってやっちゃって良いんだ?」
情報共有から改革の種を植えていくイメージです。
情報は受け取るか受け取らないかは相手が決めます。情報を渡すか渡さないかは自分が決められます。
情報を渡して熱意の転移を起こすことが大事なのです。
影の功労者にも感謝を伝える
意識的に取り組まなければいけないのが感謝です。
特に影の功労者に感謝を伝えることです。
大きく影響を与えた人は周りから感謝されますが、その周りで支えた人は周りから感謝されません。
循環を起こし、また一緒にやりたいと思う雰囲気にするには影響を与えた人が支えた人に感謝を伝えることを忘れないようにするのが大切でしょう。
ビジョンを伝える
どこを目指しているのか?はとても大切です。
そのためのビジョンを作り、伝え合う文化を作り出すことが大切です。
ビジョンを作るには固い雰囲気だけでは作れません。「このグランドデザインの最上位目的の”たくましい”ってなんだと思います?」って問いから入り、それを広げていくと巻き込んだミーティングが作れるでしょう。
ビジョンが決まったら行事や、ミーティングにビジョン風のサブタイトルを入れると普段から意識して取り組めるようになります。
コーヒーなど飲み物・食べ物などを渡しにいく
問いを作るにはキッカケが必要です。教職員はみんな忙しそうにしています。そんな間を縫って話しかけるには食べ物や、飲み物を使いましょう。
職員室ならコーヒーを渡しに行くと「そういえば…」と一言声をかけやすくなります。
コーヒーだけでなく、実家からもらってきた果物や、野菜、でかけた際のお土産なども職員室全体がワッと明るくなってくるので、その雰囲気を利用すると良いでしょう。
実践後の職員室の雰囲気
さきほどの取り組みを続けた結果、職員室の雰囲気がどう変わったか?
諦めずに取り組み続けるとこんな成果が出てきます。
自分の行動が変わった
自分の行動が変わり、自分だけで学校を変えている感覚ではなくなってきます。
一生懸命に「働き方改革やろう!」って意気込んでいると、どうしても自分が改革者になり、誰もついてこないし、声をかけても「一人でやったら良いじゃない」という空気が蔓延してしまいます。
しかし、低いハードルで周りを巻き込みながら実践を繰り返すと、自分も周りも一歩ずつと進み方としてはゆっくりですが、確実に変わっていくことを実感できるでしょう。
職員室で使う言葉が変わった
だんだん成果が出てくると職員室内で使う言葉が変わってくるようです。
一番多くなるのは「ありがとう」という言葉が増えること。
感謝は縦の関係を作らず、横の関係を作ります。
褒めるでも、けなしてるでもないという関係は心理的安全を作り出す最高の状態です。
言葉を発しやすい職員室というのはそれだけで空気圧が低くなるのではないでしょうか。
心理的・安全性が高まって言いたいことが言えるようになった
心理的安全性が高まっていくと言いたいことが言えるようになります。
それは大事な局面で「否定的でありつつも、建設的な意見」というものです。
そもそも職員会議がただの報告会になってしまっていると学校の働き方改革はうまくいきません。
「本当はこうしたいんだけど」「これってどうなの?」みたいなものを思っているだけで言葉に出さない状態になってしまうのです。
しかし、本当に大切なのは疑問や、改善点をこの人達だったら受け止めて一緒に考えてくれるという気持ちになっていること。
かき乱したいというわけではなく、みんなが良くなるように考えていきたい!という想いが一人ひとりから共有され、ビジョンに一番沿ったところはどこ?とみんなで考えることで働き方改革は一気に進むでしょう。
職員室の雰囲気を良くするのはあなたの実践次第
職員室の雰囲気を良くするためには言いたいことを言うことが大切です。
どうやって言いたいことを言っても大丈夫と思ってもらえるようにするか?
そのためには職員室の雰囲気が悪いからこそなんとかしたい!と思っている、この記事を読んでいる人の行動次第です。
課題だと思っているのはあなたが気づいていることで周りが分かっていても課題意識を持っていないかもしれない。
一人じゃ何も変えられない…って思うかもしれませんが、「一人から変えていく!変わるんだ!!」って信じて覚悟を持つことで、賛同者が増えていくでしょう。
最後に大野先生の行動のキッカケになったという言葉を紹介します。
「あなたの隣の先生は幸せですか?」