新卒3年目、複数の学年で授業を一通り経験して授業にもゆとりが出てきます。

授業力を高めていく最初の一歩を踏み出したくなる頃です。

しかし、メディアでも教員の多忙化が取り上げられる現代、教育実習生のようにつきっきりで自分の授業の良し悪しを判断してもらえることなどありません。

また、外部に研修会はあっても日々の業務に追われ、時間や距離が障壁になることがほとんどです。

そうであれば、校内研修をできるようにしたいということで、校内での授業研究サークルを自ら立ち上げました。

この記事では、校内研修に至るまでの経緯と進め方の実践ノウハウを伝授します。

校内研修を進める時の壁

たくさんの文書処理に困っている女性

校内研修を進める際に壁になるのが、管理職はなぜ許可を渋るのか?ということです。

無理に推し進めようと思っても、輪が乱れるばかりでうまく行きません。そこで管理職がどんな点に不安を持つか?も分かってから進めていくことが重要です。

本来の業務への支障がをきたさないか不安

冒頭でも述べたとおり、教員の業務は多岐に渡ります。生徒指導、部活動、環境整備、行事など。

しかし、それらの業務の中にコンスタントに入り、もっとも子ども達と多くの時間を共有するのが授業です。

だから本来の業務への支障がないかどうかが不安なのです。

学校は組織。みんなで足並みを揃えているという体裁を整えたいという想いがあることを理解しましょう。

何かあったときの責任は?

学校だけにとどまらず、教育界が変化に疎いのはこの『何か』が邪魔しているからです。

教員はプライドが高く、失敗することが苦手な生き物です。想像ができる失敗ならまだしも、経験したことのない不透明な何かに対策を立てようと努力するのです。

例えば、ICT化導入における情報の漏洩、保護者からの苦情、学校としての体裁。

学校のトップはここばかりマネジメントしていると感じる時さえあります。

もちろん、対策を立てることは大事です。

しかし、肝心の授業のこととなると、練習をする教員は皆無です。

一人として同じ子はいない上に日によって生徒の体調も変化する。

授業こそ私たちが練習して、改善していかなければならないのです。

もし、管理職にこのように尋ねられたら、まずは報連相の順守することを伝え、真摯に対応しましょう。

それでも、『何かあったとき』を気にするようでしたら、一度参加していただくのが得策です。

その上で「もし、不安要素がありましたらご教示ください」と謙遜すれば、大抵、許可してくれます

具体的に何やるのか、分からない

学校という場所で開催する以上、テーマが不透明ではいけません。

これは、年度当初に校長が提示する学校経営方針が鍵となります。

必ず「授業力向上」「学力向上」と記載されているはずです。つまり、学習指導を高めるものでなければならないのです。

「校長先生の意思に沿ったことをやらせてもらいたいのですが…」という相談で持っていきましょう。

加えて簡単なものでもいいので、毎回の報告書があれば、管理職は安心します。

活動内容も自然と知れ渡っていくでしょう。

校内研修を進める際のポイント

POINTの吹き出しを持つ手

校内研修を進める最大の壁は管理職から許可をもらうことです。

しかし、不安要素さえ分かってしまえば、そこに対応する方法をとれば良いだけ。この辺りはどの学校でも通用すると思うので、ぜひ試してみてください。

賛同者を募る

いざ、はじめたとしても、人が集まらなければ意味がありません。1人でもいれば御の字です。

同学年担当の先生、主任、同僚、後輩、誘いやすい先生からでいいので参加してもらいましょう。

私はまず、他の先生の授業にお邪魔させていただくところから始めました。

「勉強させてください。」とお願いして、その先生の授業の優れた点をとにかく褒めましょう。

なくても見つけましょう笑。いいところを見つけるのは、教員に必要な力です。

そしてそのあとは、「是非私の授業のアドバイスをいただけませんか?」と伝えれば、こっちのものです。

もちろん、教えてもらうだけでなく自分も提供しなくてはなりません。正直、大変です。

しかし、そのための外部での学びが自分の情報収集になり、参加者も増えるので一石二鳥だと考えましょう。

参加者が数名いれば、あとは口コミでの拡大が大事です。

応援してくれる教員も当然いますが、若手だけで進めたとしても、白い目で見る年配の教員がいることもまた事実です。

手間はかかりますが、さらにチラシや口コミでの宣伝も行い、どの教員もこのサークル活動が目に触れるようにしましょう。

「子どものために!」と教員の職業魂をくすぐる

教職を全うしている人に「子どもはどうでもいい」という人はいません。

いまの教育現場の多忙さもこの教員視点の歪曲した「子どものために」が邪魔をしていることが多いです。

それならば、今回はこれを逆手にとるのです。

生徒により良い授業を提供することは、誰が見ても「子どものために」なること間違いありません。

勤務時間外での設定

勤務時間内での実施となると、授業研究が業務内容として適切かどうかと疑問を持たれる先生がいます。

また、ほとんどの教員が部活動のため参加できません。

部活動も終了し、生徒が完全下校した後に行うようにしました。

中にはご家庭のある先生もいますので、定期的に時間を繰り上げて行うことで、どの先生でも比較的参加しやすい形をとれます。

ゆくゆくは外部の教員も交えて、学校の垣根を超えたものにしたいという思いも時間設定に汲んでいます。

業務内容に含まない個人的な研修であることを強調

あくまでサークルであること。営利目的ではないので、残業代も出ません。

それでも授業研究実施を主張します。

そして自分にとっても周囲の教員にとっても強制力を働かないものとして格つけました。

負担に感じてまで実施を追求して、疲れで本番の授業が崩れては本末転倒ですから。

校内研修の進め方のコツは最終的に管理職も味方につける

握手している写真

それではまとめです。

  1. 校長、教頭の許可をとること
  2. 内容、目的をはっきりすること
  3. 自分自身が負担に感じない中で行うこと
  4. 仲間を集めること

この点に気をつければ大抵、管理職も味方になってくれます!

授業力は教員力の根幹とも言えます。

仕事を覚えて校務にも少しゆとりの出てくる3年目、素人が玄人に姿を変える時です。

魅力的な授業ができる教員は生徒から信頼されます。

身近に学びの場がないのであれば、自分で作ってしまいましょう!全国に志の高い教員が増えていくことを願っています。