皆さんは10000時間って聞いたことありますか?
この10000時間というものはマルコム・グラッドウェルのベストセラー『Outliers』にて、1万時間の法則が紹介され、学習の世界で何度も引用されたのです。
そう、この10000時間は成功者になるために必要な「何か物事を極めるために必要な時間」です。
僕自身、何か他の人とまったく違うような突出したスキルを作り出すためには10000時間を費やさなければいけないなとも感じています。
しかし、一方で全てにおいて10000時間必要なのか?というと、実際はそうでもないなと思ったりします。
今回はその理由と、本当に必要なのは何時間なのか?を考えてみようと思います。
10000時間は本当はたった20時間で良い
僕がどうして10000時間必要ないと書き出したのか?はとある教員からシェアされたこの動画です。
正直、これを見た時には震えました。
この動画で言われていることはこんな感じです。
思わず声をあげてしまうほど、楽な習得方法。天才じゃなくても、毎日少しの時間、続けることで成果が出る。
楽というよりも時間的に相当な余裕が持てる。
僕自身もギターをかき鳴らしていきたいと何度も思ったことはあります。もちろん、一流や、プロにならなくて良い。とにかく楽しく弾きたい。ただ、それだけ。
その、ある程度弾けるようになるために、20時間必要だと。
その上でコツが4つ紹介されていました。
①目指す目標と決め、目標達成するための項目を細かく分解する
まず一番最初に大事なのはそのスキルを習得するまでに必要な項目を細かく分解する必要があります。
ギターを習得するというのなら「チューニングを覚える」「コードを覚える」など必要なスキルを分解し、集中して効果を最大限に高めることです。
これがまったく分からない状態で進むと、余計なことに時間を取られることになってしまう。
そのため、明確な目標と、そこに至るための小さな目標を細かく分解するための時間は学習とは別に確保しなければなりません。
だから、ここでは練習に20時間というだけで、必要なことの分解する時間はさらに2〜5時間は必要ではないかと考えています。
②なるべく自己改善で学ぶ
誰かに改善をしてもらうのではなく、どこを間違え、どこを改善すれば良いか?を自分で考え、改善するという行為が必要なようです。
これはPDCAというよりもOODAが当てはまるでしょう。
OODAは見て、理解して、決めて、実行を繰り返す改善サイクルのこと。プランや、計画を立てないので改善のペースがとにかく早く、1日に何回も改善されるので驚異的な修正・成長が可能です。
▶《図解》 PDCAとの違いは?現場に強いビジネスメソッド「OODA(ウーダ)ループ」とは? – データの時間
大事なのはインプットの時間をほとんど持たず、アウトプットベースで実践すること。
「本を20冊読んでからスタートしよう!」という考え方ではなく、「やり方が分からなくなったら調べよう」という気持ちで進むのが大事です。
③練習に必要な邪魔なものを取り除くこと
テレビや、インターネットなど余計なものは全て取り除き、実行しない。空いた時間を練習の時間にとにかくつぎ込むことが大事だと言っていました。
僕たちはとにかく余計なものや、余計な情報を入手しやすいです。情報化社会になってしまったからこそ、邪魔なものは全部省くくらいストイックにやってみましょう。
④最低でも20時間練習すること
成功する上で一番大事なのはプラトーと呼ばれる苛立ちの壁というものを超えること。最初はできなくて当たり前なのです。しかし、その習得するまでの20時間はほとんど「できない」という壁に悩まされることになります。
イライラしたり、他人を見て比較してしまい、ガッカリすることも多くなります。人間誰しも「自分が能力が低い」と感じて嬉しく思うことはないでしょう。
でも、それは当たり前のこと。イライラしたり、ガッカリしている暇があるならとにかく練習をすることが大事。
だからこそ、「とりあえず20時間練習する」とまず始めに決めて、逃げずに積み重ねることがとても重要なのです。
10000時間が嘘だと納得した理由
エクスペリエンス・カーブの存在
エクスペリエンス・カーブはご存知ですか?
エクスペリエンス・カーブは学習している期間と、生産性を表したグラフのことです。
現在、エクスペリエンス・カーブが発生する要因として最も大きな影響を及ぼしているのは「労働者の学習」だと考えられています。特定の作業を繰り返すうちに能率が向上し、作業の専門化が進むからです。
他にも生産設備の能率向上も関係していると考えられています。設立当初の生産効率は 比較的低水準であり、製造経験が増すにつれて設備が改良されていく場合が多いからです。
逆に言うと、最初は生産性は限りなく低いですが、どんどん習熟度が増すにつれて、生産性が上がっていくというもの。
逆にこのエクスペリエンス・カーブはとある一定の箇所まで差し掛かると生産性が伸びなくなってきます。
この分岐点までにかかる時間が20時間。頂点に達するまでかかる時間が10000時間と言われているのです。
自分の中のエクスペリエンス・カーブはほぼゲームで実証できている
さきほどの動画ではウクレレを弾けるようになるまででしたが、僕も思い返してみると大体20時間でできるようになっているものがあるなと思っています。それがなんとテレビゲームです。
特に僕はゲームのプレイ時間ってかなり気にしてプレイしています。クリアまでに何時間かかるんだろう?ってのが気になるからです。
それがなんとほとんどのゲームは20〜30時間でクリアしているじゃありませんか。
元々、そのような量だと狙って作られているのか分かりませんが、ほぼ全てのゲームが20〜30時間です。
しかも、ゲームというのは最初、絶対素人から始まります。
そして、全てクリアし、エンディングを見るという分かりやすい目標があり、そこに至るためのステップとしてストーリーを進めたり、ステージをクリアしたりなどを繰り返していきます。
皆さんもRPG、アクションなどのジャンルに関わらず、クリア時間のほとんどは20〜30時間で収まっていないでしょうか??
根拠としては微妙かもしれませんが、20〜30時間あれば人はそれなり以上になれるということです。
10000時間いらない。それなりにできるレベルを子供たちにたくさん作ってあげよう
45分を30回。これって学校の今のシステムだとものすごくやりやすいと思います。
つまり20時間あれば子供たちもそれなりのレベルに達するということです。
そこから突き詰めて、何でも理解し、ものすごく素晴らしい達人や、専門家の域まで達するのには残り9980時間やらなければならないということです。
こんなことはよほど好きなことじゃないと極められないし、全員にやらせる必要はないですよね。
教員や、学校として大事なのは「何が好きか分からない」、「何ができるか分からない」という子供たちに、たくさんのできるを増やし、「やりたい!」「続けたい!」につながるキッカケを作ることなのではないか?と感じています。
極めさせる必要はない。極めるのは子供たちが勝手に選び、勝手にやります。
教員はそのキッカケを授業や、学校生活を通じて作っていく。だからこそ、時数や、学習指導案が活きてくる。明日からの授業づくりのヒントになったら幸いです。
ちなみに20時間の法則の本も売り出されています。20時間で習得したい!させたい!と思っている方はぜひ読んでみてください。