白い粉末の区別の実験は、においのかぎ方や試験管への薬品の投入など、中学1年生の実験で初めて化学的操作が増える実験です。
実験の主となる目的は、物質が有機物か無機物かを判断するという点、見た目はほとんど一緒でも性質が異なるという化学試料の前提知識を認識する点だと考えられます。
操作自体は簡単な実験ですが、まだ中1は火の取り扱いに慣れていなかったり、実験の操作に慣れていなかったりという生徒もいるので、確認のためにも想像よりもゆっくりと行うことをおすすめします。
白い粉末については、教員の裁量で準備するものを変えることもできるので、授業構成などに合わせて実験設計するのが良いでしょう。
今回はそんな炭酸水素ナトリウムの分解実験の手順について解説します!ぜひ参考にしながらチャレンジしてみてください!
実験準備
- 4種類の試料(砂糖、片栗粉、食塩、謎の粉X)
- 基本的に白ければなんでもOKだが、まだ実験をし始めなので、さまざまな事故に備える必要があります。
- 手に触れたり口に入れたりしても、安全な試料を用意することをおすすめします。(例:重曹、味の素、クエン酸など)
- 水(蒸留水が望ましい)
- 石灰水(演示での実施や時間がある場合に利用)
- 理科実験用ガスコンロ(ガスバーナー)
- チャッカマン(ガスバーナー着火用)
- 三脚(理科実験用ガスコンロであれば必要なし)
- 金網 (理科実験用ガスコンロであれば必要なし)
- セラミックガラス板
- るつぼばさみ (アルミカップを取り出すように利用)
- アルミホイル (お弁当に入れるようなアルミホイルカップがあればそちらを利用)
- 試験管4本 (Φ16.5×4)
- 試験管たて
- ルーペ
- 白紙
- 燃焼さじ(演示での実施や時間がある場合に利用)
- 集気びん(演示での実施や時間がある場合に利用)
- 集気びん用ふた(演示での実施や時間がある場合に利用)
材料と器具の入手について(見たい場合はこちらをクリック)
実験の手順
生徒実験

| 物質の種類 | 色や粒のようす | 水にいれたときのようす | 熱したときのようす |
| 食塩 | 透明で角張った形。粒は大きい。 | 水に溶ける。 | 熱しても変わらない。 |
| グラニュー糖 | 透明で角張った形。 | 水に溶ける。 | 液体のようになって、その後、黒くこげる。 |
| 片栗粉 | 白くて細かい。 粒は見えない。 | 水に溶けないで、白くにごる。 | 液面から煙を出して、黒くこげる。 |
| 砂糖 | 白くつやがない。 粒の大きさは決まっていない。 | 水に溶ける。 | 液体のようになって、その後、黒くこげる。 |


演示実験(時間があれば生徒にやらせる)

実験の片付け
- 最後に残るアルミカップはまとめて可燃物として処理します。試験管に入れた白い粉末は水道に流します。
- セラミックガラス板や三脚など、実験が長引いて最後の方まで加熱をしていた場合には、火傷防止のためそのまま机に置いておいてもらって、あとで教員が片付けるようにします。
- 反応後の石灰水は酸性である可能性があるため、処理の方法などを教えていくのであれば、廃液用のビーカーを用意して集めたり、廃液タンクに入れてもらったりという処理の仕方が好ましいです。(ただし、そこまで濃度も高くないので、水道水を大量に流して処理しても問題はありません。)
- ほとんどの生徒が机の上に物質をこぼしているため、最後は水拭きをさせて確認を教員がするといいでしょう。
- 時間があれば、試験管の洗い方などを教えてもいいでしょう。(教科書通りに進行していれば、この実験が初めて試験管を利用する実験です。)
実験の解説
化学実験の操作練習
加熱のためのガスバーナーの利用、においのかぎ方、試験管での水溶性の確認など、化学実験において必要となる操作の練習としても重要な練習になります。一つ一つの操作をしっかりと意味も含めて説明することが求められます。
- ガスバーナーの利用:火をつける順序と消す順序、ガス漏れや不完全燃焼の危険性など。
- においのかぎ方:体に害のある気体が出る可能性があるため、顔から試験管を遠ざけて、手であおいでかぐ必要があります。
- 試験管での水溶性の確認:試験管の上端近くを指でつかむように持ち、試験管の底部を左右に回したり、円を描くように振る。液体の入れる量は1/5〜1/4程度にして、振った際にこぼれないようにする。
加熱時に発生する気体
石灰水が白く濁る反応は、二酸化炭素が発生したことを示しています。
有機物と無機物の区別
熱して黒く焦げる物質は、主に炭素を含んだ有機物である可能性が高いです。今回の実験では、砂糖や片栗粉がこれにあたります。一方、熱しても変化しない食塩は無機物です。この加熱は物質が有機物か無機物かを判断する重要な手段となります。
まとめ
この実験は、見た目の似た物質でもさまざまな操作をすることによって、性質の違いを確認することを目的にしています。化学の実験で扱う薬品には白い粉末が多くあります。中1の最初にこの実験を行うことで、この後の実験において薬品の扱い方を考えてもらうためにも重要な実験になります。
生徒の反応
変化が目に見えて分かりやすく起きる実験であったり、操作が多いわけでもないので、一見退屈な実験に思われがちです。しかし、生徒の中には小学校時代にあまり実験を行う機会に恵まれなかった子もいるため、ほとんどの子が積極的に参加する姿勢が見られます。
特に加熱した時には、砂糖がこげて甘い匂いがしてくるのでそこで興奮する生徒が多くいます。
また、実験の方法についてはプロトコルなどに記載して渡したり、最初に流れを説明したりするのですが、まだほとんど慣れていないので、都度聞いてくるような子もいます。ここで、都度教えるのではなく、あくまでもプロトコルを見てもらって自主的に進めるという姿勢をつけさせる必要があると思います。
所要時間
教員が手際良くやって15分程度、生徒は早いところで20分、遅いところだと30分程度するところもあります。ただし、極端に早い実験班は最初の観察を簡単に終わらせている傾向もあるので、加熱実験に移る前に一度確認をした方がいいかもしれません。
参考動画
準備が出来次第掲載予定。


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