炭酸水素ナトリウムの分解実験は、中学2年生で初めて化学反応式を実験で確認をする、ステップアップの実験とも言えます。
炭酸水素ナトリウムを加熱するだけの簡単な実験かと思いきや、意外にも注意をする点が多く、発生する物質を確認するための作業も忙しいです。
そのため、授業時間内に全てを生徒主体で終わらせるのは難しく、演示実験との取捨選択が必要になります。
しかし、ここでの手順はその後の多くの実験にも転用できるので、ぜひやってほしい実験です。
今回はそんな炭酸水素ナトリウムの分解実験の手順について解説します!ぜひ参考にしながらチャレンジしてみてください!
実験準備
- 炭酸水素ナトリウム(約2g×2)
- 石灰水(A点容器に入れておく)
- フェノールフタレイン溶液(A点容器に入れておく)
- 塩化コバルト紙(使用前にドライヤーで色を戻す)
- ガスコンロ(ガスバーナー)
- マッチ
- 水槽
- 試験管5本(Φ18×2,Φ16.5×3)
- 試験管立て
- ゴム管
- ゴム栓
- ガラス管(L字)
- スタンド
- 線香
- チャッカマン
- ドライヤー
- 燃え差し入れ
材料と器具の入手について(見たい場合はこちらをクリック)
実験の手順

実験の片付け
- 最後に残る石灰水、炭酸ナトリウムを水に溶かした液体はアルカリ性です。処理の方法などを教えていくのであれば、廃液用のビーカーを用意して集めたり、廃液タンクに入れてもらったりという処理の仕方が好ましいです。(ただし、そこまで濃度も高くないので、水道水を大量に流して処理しても問題はありません。)
- そのほか、加熱に必要なガスコンロやチャッカマンなどは、最後のフェノールフタレイン溶液での確認に移ったら回収、もしくは片付けてもらっても問題ありません。
実験の解説
発生する気体
石灰水が白く濁る反応は、二酸化炭素が発生したことを示しています。また、マッチや線香の火を近づけたときの反応から、その気体が水素(燃える性質を持つ)か、あるいは酸素(燃焼を助ける性質を持つ)かを判断できます。
発生する液体
塩化コバルト紙は水に触れると青色から赤色(ピンク色)に変化する性質があります。この変化が見られれば、加熱によって水(水蒸気)が発生したことがわかります。
残る物質の性質
フェノールフタレイン溶液は、アルカリ性の水溶液に加えると赤色(ピンク色)に変色します。実験後の物質の水溶液が加熱前の炭酸水素ナトリウムの水溶液よりも強くアルカリ性を示す場合、加熱によって別の物質に変化したことがわかります。炭酸水素ナトリウムは弱アルカリ性ですが、分解によって生じる炭酸ナトリウムはより強いアルカリ性を示すため、色の変化が濃く現れます。
まとめ
この実験は、炭酸水素ナトリウムを加熱したときに、どのような物質に分解されるかを調べることを目的としています 。加熱によって発生する気体、生じる液体、そして試験管に残る固体が何であるかを特定することで、炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学式を明らかにします。
これらの結果を総合すると、炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)は加熱されると、炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)、二酸化炭素(CO₂)、水(H₂O)に分解されることがわかります。この化学反応は次のように表すことができます。
2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2
生徒の反応
1つ前のカルメ焼きの作成から一気に化学的操作が増え、難易度も上がる実験のため、全てを終えられない班も出てきます。生徒の行動力や理解度などに合わせて、塩化コバルト紙やフェノールフタレイン溶液の反応を演示実験にすることをお勧めします。
とはいえ、視覚的にも分かりやすいため、色の変化には生徒も喜びます。どちらかはやらせてあげるといいと思います。
炭酸水素ナトリウム2gで約4本〜5本ほどの気体が採集できますが、不器用な子がやるとどうしても、ギリギリ足りないこともあります。
作業や覚えることが多いため、生徒もだいぶ混乱します。教員が見本を見せながら同時進行をしたり、同じ実験をしている動画を前もって見せたり、要点を絞ることが求められます。
所要時間
教員が手際良くやって15分程度、生徒は早いところで25分、遅いところだと40分超過するところもあります。


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